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2019 / 10
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フォーレQ
【DG 476 6323】
ブラームス
ピアノ四重奏曲第1番ト短調Op.25 第3番ハ短調Op.60
フォーレ四重奏団

大変優れたアンサンブルを見せつけるフォーレ四重奏団。
ブラームスの第3番はいままでなかなか納得のいくような
演奏に接することが出来ませんでした。この四重奏団で初めて
曲の良さを知りました。現代的な颯爽として抜群の切れ味と
くっきりとしたフレーズ感、そして一体となって一気に
盛り上げるクレッシェンドはブラームス的ではないかも
しれませんが、直接的で現代的なアプローチです。
ゲーテの「若きウェルテルの悩み」にちなみ、クララへの
秘めた想いを込めたといわれる曲、であれば甘い演奏より、
激しい感情の起伏をどう表現するかにかかります。
一方甘い演奏の代表格、ガルネリ四重奏団に
アルトゥール・ルービンシュタインのピアノという豪華な
組み合わせは、大家の余裕がありすぎでピアニストの音楽です。
ゆとりとか風格、枯れたなどでは表現できない若きブラームスの
葛藤であり、何しろ唐突に終わる最終楽章、
最後のCは「バン!」自殺の銃声です。


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フォルデス
【EMI Classics 0777 7 64564 2 3】
シューベルト ピアノソナタ D959 &960
アンドール・フォルデス(ピアノ)

フォルデス(1913-1992)はハンガリー生まれのピアニスト。
日本ではバルトークのスペシャリストとして少しだけ
知られている存在ですが、ドイツ・グラモフォンに録音した
レパートリーはベートーヴェンの協奏曲やソナタが中心で、
必ずしもハンガリー音楽ばかりではありません。
ギーゼキングの後をついで、ザール音楽院の教授を
務めたほどの人ですし、演奏スタイルもギーゼキングと
似たところがあり、即興的な感興を湛えるギーゼキング
に対して、フォルデスは堅実であまりタメとかルバートを
多用したものではありません。そのせいか地味な印象
となってしまい損をしています。
著作もあり、「ピアノへの道」(音楽之友社)は
昭和31年に出版されてから、昭和53年には14刷と
なっているところをみると昔の音楽ファンには
なじみの存在だったのかもしれません。
このCDのシューベルトの大曲2つはじつに
すっきりとした仕上がりとなっていて、じっくりと
仕上げていくピアニストが多い中、むしろとても現代的な
演奏になっています。音楽にキレがあるためもたれず、
逆にこれらの大曲はこうやって弾かれたほうがよほど
本質に近いし、ウィーン風の感興からシューベルトが
生粋のウィーンっ子だったことを思い起こさせてくれました。



ハフ
【Hyperion CDA67686】
スティーヴン・ハフ イン リサイタル
スティーヴン・ハフ(ピアノ)

このブログには何度も登場願っているハフ。
デュトワ・N響との圧巻のリストを思い出しながら
ソロのレコーディングを手にしました。この中のメインディッシュは
ベートーヴェンのピアノソナタ第32番ですが、前菜として
メンデルスゾーンの「厳粛な変奏曲」(大変な名演です!
敏捷性が要求されるこの曲にはハフはぴったりとはまります)、
二の皿として、色とりどりの小品がちりばめられたデザート。
メインディッシュは一皿でいい、デザートをたっぷりどうぞ、という
姿勢は最近食が細くなりつつあるなかではありがたいものです。
さて、メインのベートーヴェン、ハフはあまりベートーヴェンを
弾かないので、嫌いなのかしら?と思っていましたが、
さすがにこの演奏は大したものです。
各声部がきちっときこえてくるし、聴き終えた後の充実感はさすがでした。
美しすぎて悪いわけはないのです。二の皿はどれもワクワクしますが、
(メフィスト・ワルツにノックアウト!)最近ではあまりひかれなくなった
ウェーバーの「舞踏への勧誘」が秀逸。こうやって弾くものだという納得。
改めて現代最高のピアニストであることを確認しました。



ゲルナー
【CASCAVELLE VEL 3029】
リスト 12の超絶技巧練習曲集
ネルソン・ゲルナー(ピアノ)

ゲルナーはチェロのイッサーリスの共演者として来日した時に
本番を聴くことが出来ました。オール・シューマンプロでしたが
この時の印象がとても良くて、NHK交響楽団にも
ソリストとして迎えられているのを知りました。
難関と言われるジュネーヴコンクールの覇者でもあり、
同郷のアルゲリッチの後押しもありましたが、
今一つ地味な印象を与えていました。
リスト・コンクールの覇者でもあるそんなゲルナーの
超絶技巧練習曲集です。なにせ、「超絶技巧」という
冠のついた練習曲はこれだけです。
なんといっても、超絶ですから、腕自慢達が自身の技巧を
披露する場にしているような曲集ですが、ここでは
技巧だけに走るのではなく大変優れた音楽を披露しています。
音楽的ながら、胸のすくような技巧も垣間見えます。
ゲルナーにはハフのような切れ味はないにしても、
やはりこういった表現をする人たちがどんどんあらわれてくると、
リストの評価がもっと違ったものになってくるのではないでしょうか。
何しろ本当にきちんと弾ける人が少ないので評価のしようがない
ということが多いわけですから。
先ずはこの曲集を技巧として乗越えられる者が
ピアニストとしてのパスをもらえると考えると
世の中にプロとして打って出ることの難しさを改めて感じました。



ガヴ
【東芝EMI TOCE-13215】
アンドレイ・ガヴリーロフ(ピアノ)

ガヴリーロフ、1974年、18歳でのチャイコフスキー・コンクールの覇者。
弾けない曲はないとまで言われた超絶技巧によるショパンの「練習曲集」は
ポリーニのそれと並び称されるほどでした。そんなガヴちゃんは
1994年から2000年前後あたりまで精神的な不調が伝えられ、
コンサートの突然のキャンセルなど、してはいけないことをしてしまって
ステージからしばらく干されてしまいましたが、このところ立ち直った
様子が漏れ聞こえてくるのはなんとも嬉しいニュースです。
なにせカムバックが、モスクワでの一晩に4つの協奏曲(!)とのこと。
このCDはコンクール優勝から3年しかたっておらず、恐れを知らぬ若者が
そこにいます。ラヴェルの表現描写の見事なこと、圧倒的なパワーで
押しまくるプロコフィエフの「悪魔的暗示」の重いタッチから放たれる
フォルテシモから微妙なペダリングによる「ラ・カンパネラ」の
ピアニッシモまでピアノという楽器が表現できるあらゆること
をしてみせてくれます。そしてよく一番難しい曲の筆頭にあげられる
バラキエフの「イスラメイ」。ここまでやってくれると超一流の証、
極上の耳のごちそう、快感と言ってもいいものです。
私たちの時代のスーパーカーに錆なんか出ていませんように、
まだまだガヴちゃんにはこだわっているし、深化し、円熟した演奏を
是非もう一度聴いてみたいものです。





yatchan2003

Author:yatchan2003
2003年から活動開始。
音楽への想いを伝えたい!
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