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2011 / 10
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シューベルト・シフ
【DG 439774 】
ハーゲン四重奏団 
ハインリッヒ・シフ(チェロ)

「華麗なる旋律」(平凡社)はルービンシュタインの有名な
自伝ですが、読み出したら面白くてたまりません
若き頃の記憶は最近の記憶より鮮明であることが多いとしても、
この恐るべき記憶力には驚くしかありませんでした。
曰く、「・・・私はティボーとターティスとカザルスとルビオが
深く心をこめて演奏する、シューベルトの弦楽五重奏を初めて聴いた。
これを聞いたときの私の感動は、とても筆舌に尽くし難い。
ただ私の言えることは、その晩以来、私が死の床にあるときには、
本物であれ想像であれ、その天上的なアダージョの平和と
諦念の響きにかこまれていたい・・」正直なところ、
これまでよく知らない曲でしたが、こんな文章を読まされては
誰だって聴いてみよう、と思い立つもの。
ハーゲン四重奏団にシフがまったく見事に溶け込んでいます。
四重奏プラス1、ではなく五重奏として、ダイナミックレンジも広く、
表現の幅がとても大きいので室内楽というよりは一つの交響曲を
思わせるような演奏です。そしてメンバー同士が同じ言葉を
喋っているのがよくわかります。もっと室内楽的なアプローチは
もちろんあるのでしょうけれど、この曲に求められるスケールの大きさと
ルービンシュタインを魅了したアダージョの美しさは
彼岸の蓮の花を連想させてくれました。


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キーシン
【DG 435 028-2】エフゲニー・キーシン(ピアノ)
キーシンは好きなピアニストの一人です。ちょうど今、来日中で
彼の誕生日10/10の前後に「キーシンフェスティバル」という
一連の公演が予定されています。以前、リサイタルに
足を運んだ折には、 開演前から熱気にあふれた特別な雰囲気が
ありました。キーシンの音はとても「いい音」がします。
誰が弾いてもピアノ、されどピアノ。彼の音に宿るものはすでに
王者の風格さえ漂います。何がそれを感じさせるのかわかりませんが、
ルービンシュタインの音にも堂々たる風格、王様の雰囲気がありました。
今年40歳の神童ピアニストの20年前の録音ながら、その音が見事に
音楽に昇華しま す。評判だったコンサート・ツァーは、
シューベルトの「さすらい人幻想曲」に始まり、そのシューベルト歌曲の
リスト編曲と続き、ブラームス最晩年のOp.118をとりあげ、 仕上げは
リストのハンガリアン・ラプソディー。こんなプログラミングは
やはり王様にしかできないものです。シューベルトにはまず美しい歌があり、
何より厚みのある重音から彼独特のしっかりと芯のある音にワクワクします。
アルペジオにも一音一音の隅々まで神経が行き届きます。リストの作品は、
名人シフラのものがやはり技巧が前に出てしまうのに対して、
キーシンには豊かな音楽が息づき技巧が前に出ることはありません。
音楽家、芸術家として順調に時を重ね、21世紀最高のピアニスト
としての地位は彼のために用意されているようです。


ルビンシュタイン
「華麗なる旋律」ルービンシュタイン自伝
平凡社刊

ルービンシュタインの自伝は全部で3分冊に亘ります。
とにかく長い(!)のですが近年これほど面白く、音楽、
生き方、ピアノのこと、など「為になる」本はありませんでした。
最初はどうせ、また自慢話のオンパレード(?)と
タカをくくっていましたが、とんでもない誤りでした。
My Young Yearsと題された最初の一冊は特に興味深く、
この私たちと時代を共有したこの大ピアニストが、
ドイツでリストの流れをくむバルト教授の教えを受けていた
ことから、いままで伝説でしかなかった大作曲家たちが
とても身近な人物となりました。また彼の周辺で光を放った
芸術家たち。そして彼らを庇護した貴族たち、綺羅星のごとく
次々と歴史に名を遺した人たちが生き生きとまるでそこに
いるかのように姿をあらわします。ヨアヒムの寛大さ、
パデレフスキ―の威厳、ディアギレフ、ストラヴィンスキー・・
1917年までの青春時代を心から堪能しました。
ショパンをはじめとする録音されたピアノ音楽の素晴らしさは
言うに及ばす、(そのどれもが私は好きです)
「私は生を無条件に愛することを知った。」という
ルービンシュタインのモットーに、
人生のすべてを受け入れた偉大な人の言葉をかみしめました。



ボッケリーニ
【NECアヴェニュー NACC-1023 】
ウィーン弦楽四重奏団
鈴木一郎(ギター)

ボッケリーニはピアノ弾きにはちょっと縁遠い存在かもしれません。
きっと弦楽器奏者にとってのドメニコ・スカルラッティみたいに。
そしてここではマドリードの作曲家の作品をウィーンの楽師たちに
交じって鈴木一郎という某野球選手と同姓同名のギタリストが
参加した国際色豊かなものとなっています。
或る日、N響アワーからとてもカッコのいいブラスが響き、
小太鼓が踊り、みたいなワクワクする音楽が流れてきました。
フルオーケストラを指揮しているのは若手の下野竜也さん。
曲目で紹介された名前はルチアーノ・ベリオ編曲の
ボッケリーニ作曲「マドリードの帰営ラッパ」でした。
その原曲になったものをギター五重奏をようやく見つけることが
出来ました。厳密に言うとこれも編曲で原曲は弦楽五重奏とのこと
ですが、まあそのあたりはどちらでも。この編成で聴いても、
曲のイメージが出来上がってしまっているせいか、カッコよさは
そのままでした。むしろ大げさではなくとても親近感がわいてきた
くらいです。きっと演奏もしっかりしたもので、
逆に編成がどうの編曲がどうのなんかをを忘れさせて、
曲そのものに浸らせてくれました。



アーカイヴを見直していたら、以下の公演を書き忘れて
いたことに気づきました。アーカイヴ15の2010年1月29日
ライヴ・イマジン10の次、アーカイヴ16になります。
申し訳ありません。追加して訂正します。


イマジン11無礼講
アーカイヴ16  2011.5.29ティアラこうとう小ホール
ライヴ・イマジン11  無礼講コンサート1
今回は気軽に楽しめる「無礼講コンサート」という企画で
関係者のみで行いました。この「無礼講」というスタイルは
各奏者の勉強の場としてお互いの演奏を聴きあうことを目的に
しています。目的もいろいろなので、あくまでも「無礼講」で
一年に一回程度の開催です。
午前中のリハーサルの後には、出演者全員がフレンチレストランで
ゆったりとランチ。さすがにワインは自粛しましたが、お腹も
気持ちも満たされた午後に会場に戻り、開演となりました。
1曲目は、シューマンのオラトリオ「バラの巡礼」より 第1曲を
ピアノ連弾版で。数分の短い曲ですが、天にも昇るような
メロディが印象的。本来は独唱に合唱、オーケストラという
大規模な曲です。この連弾版は、おそらく日本初演です。
2曲目は、ベートーヴェンの熱情ソナタ。 この超有名曲を
全曲弾いてしまえるのも、またとない機会。 2楽章の敬虔な
調べの変奏曲を挟んでの激しい1、3楽章が、疾風怒濤のごとく
会場を圧倒しました。一転して3曲目は、爽やかなフルートの演奏。
まず独奏でのシリンクス、そしてピアノとのデュオでルーセルの
笛吹き達、ゴダールの組曲を。曲ごとに色が変わる煌めきの風が
吹き抜けました。休憩後の4曲目は、シューマンのチェロ協奏曲を
ピアノ伴奏で。陰影のある詩情豊かな曲は、楽章間の切れ目なく
演奏されます。時間を重ねた成果を思い入れたっぷりに聴かせ
ました。最後の5曲目は、ブラームスのピアノトリオ第2番。
1番より演奏される機会は少ないものの、ブラームス独特の深い
響きと和声は圧巻です。 各奏者が思い切りよく伸び伸びと弾き、
息の合った演奏で楽しませてくれました。演奏後の記念写真も
リラックスした雰囲気でした。無礼講とはいえステージでの演奏
ですから、それぞれが真摯な姿勢で臨みました。 ホールを
借り切っての贅沢な企画でしたが、たまにはいいものですね。

yatchan2003

Author:yatchan2003
2003年から活動開始。
音楽への想いを伝えたい!
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