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2011 / 12
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ピアノノート
ピアノ・ノート ~演奏家と聴き手のために~ 
チャールス・ローゼン著
朝倉和子・訳  みすず書房

ピアノを演奏し、愛するものとして大切な本です。
一つの曲を仕上げて行く過程では数多くの??が頭の中を
駆け巡ります。それを解決するには、例えば名人がどうやっているか、
なんてことは一つの参考となりますし、こっそり拝借してしまうことも。
でもそれはその場限りのいわば「とりあえず」というものでしかありません。
ピアニスト、チャールス・ローゼンの演奏は残念ながら聴いたことは
ありませんが、博学で、文章がとてもしっかりしているので
ピアノという楽器への理解、その歴史への理解、レコーディング現場のこと、
コンクールのこと、スタイルのことなどなど、興味が尽きませんでした。
垣間見る大ピアニスト達のエピソードは、ともすると無味乾燥に
陥りそうになる話題を生き生きとしたものにしています。
ピアノは未来永劫続くとしか思っていなかった私に、著者はピアノの
行く末をこんな風に著しました。「バッハからベリオに至るピアノの
レパートリーの存続は、それを聴く人がいるかどうかではなく、
それを演奏したいと思い、それ以外の方法はぜったいとらない人が
何人いるかにかかっている。音楽を、あるいは楽器を演奏したい
という焼けつくような情熱がある限り、聴衆はついてくる。
22世紀になってまだピアニストがいるならば彼らを聴きたいと思う
聴衆もいるだろう。大丈夫、私たちは少なくとも今、楽器を演奏したい
と言う情熱だけはたっぷり持っています。


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ゴールウェイ
【BMG 09026-60442-2】
ジェームス・ゴールウェイ(フルート)
東京カルテット

2013年の6月を持って、磯村さんと池田さんが引退するという
公式発表がありました。1970年台から40数年、とうとう日本人が
このカルテットから姿を消してしまいます。それにしても
このジャケット写真のなんと若々しいこと!まだファースト
ヴァイオリンだけが外国人だった頃、1993年の録音です。
モーツァルトのフルート四重奏曲ニ長調KV285は、次回の
ライヴ・イマジンで演奏されます。私はこの曲が大好きですが、
手軽な名曲なだけに、プロアマ問わず演奏機会の多いもののひとつです。
ここで笛を受け持つのは先ごろ「黄金のフルートをもつ男」という
自伝が出版されたゴールウェイ、世界最高のフルート奏者として
来日時には皇后陛下のピアノでお相手を務めたそうです。
美しい音を駆使して余裕綽々でアンサンブルをリードします。
お相手の東京カルテットも慣れたもので曲の隅々まで見事に神経が
届いていますが、第二楽章あたりはもうすこし「翳」があっても、
などというのはこのような大らかな演奏には失礼な言い方ですね。
第三楽章、もっと速い演奏をよく耳にしますが、楽譜指定はアレグレット。
なーるほど。フルートのヴィヴラートも堂々としているし、
弦のメンバーもその時の最高のものを提供しており、古楽的な
アプローチの対極にあるかもしれませんが、この快感は理屈ではありません。



ゼッフェレッリ
ゼッフィレッリ自伝
木村博江・訳  東京創元社

フランコ・ゼッフィレッリの名前はそれこそなんとなく、オペラの
演出家、豪華絢爛な舞台、というくらいしか頭になかったのですが、
ちょいワルなイケメンって感じの表紙から偶然に手にしたこの本は
あまり馴染みのなかった、オペラや映画の世界に誘ってくれました。
オリビア・ハッセー~映画「ロミオとジュリエット」は知っていても、
監督のゼフィレッリまでは行き着いていなかったし、オペラになると
もう、ほとんど何も知らないのにも等しいのが現実でした。
ヴェルディや椿姫、マリア・カラスの名前くらいは知っていても
演出の世界がどのようなものかまでは見当がつかなかったのですが、
そのとても大きなそして奥行きの深い世界を垣間見ることができました。
偉大なアーチストがみなそうであるように、「上から目線」というのは
この人の言動にはありません。ヒューマニスト。私はこの人が
大好きになってしまいました。内容ですが「私は三度死にかけた。
二度は機銃掃射で。一度は車の事故で。」とはじまる物語に
一気に引き込まれました。第二次大戦中のパルチザンだったころの
エピソードもとても迫力があるのですが、なにより生涯を通じての
キーパーソンはルキノ・ヴィスコンティであり、マリア・カラス、
そしてココ・シャネルでした。それぞれの分野で最高の仕事をした
プロ中のプロたち。そんな彼らがまるですぐそこにいるような
臨場感も味わえます。最近モーツァルトと過ごす時間が長いので、
ついでに彼が「地震が起きた時に救いたいオペラ」の筆頭にあげた
「ドン・ジョヴァンニ」でも観てみようと思いました。


縮小イマジン21葉書
ライヴ・イマジン21 2012年1月21日(土)13:30開演
すみだトリフォニー 小ホール

「アーカイヴ」や「公演報告」としてお伝えしてきました
今迄の公演は、別名のものを含めると過去20回になります。
次回からは「ライヴ・イマジン」に公演名を統一し、通し番号にします。
新しい年を迎えて新鮮な「ライヴ・イマジン21」は、
古典派の作品に取り組みます。どうぞお楽しみに。
ベートーヴェン 弦楽三重奏曲 ト長調 Op.9-1
モーツァルト フルート四重奏曲 第1番 ニ長調 KV285
モーツァルト(フンメル編曲) ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 KV466

入場料:無料(要整理券)
入場整理券をご希望の方は、下記の問合せ先アドレスに
お名前 ご住所 電話番号 年齢 職業 コメントを添えて
「ライヴ・イマジン音楽記を見て整理券希望」とご記入下さい。
折り返し上記の葉書(入場整理券)をお送りいたします。
お問い合わせ  liveimagine@yahoo.co.jp

エドウィンフィッシャー
【APR 5523 】
エドウィン・フィッシャー(ピアノ)
ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団

ピアノ協奏曲ニ短調KV466の歴史的な録音のひとつです。
エドウィン・フィッシャーはスイスのピアニストで
モーツァルトのスペシャリストとしても知られていますが、
端正かつ血の通った演奏をする人でここでもロマンの香りとともに
モーツァルトの音符が生き生きと輝きます。録音は1933年のこと
(このAPRの復刻はとても素晴らしいです。)ですが20世紀初頭の
モーツァルトのステータスは、「みんなその名前は知っているけれど、
その作品はほとんど知られていない」というものだったそうです。
フィッシャー、ギーゼキング、ワルター達の努力によって
私たちはモーツァルトを楽しみ、味わう恩恵を受けているといっても
いいでしょうけれど、事実これらの巨匠たちが遺した録音は今でも
多くの人たちの心に訴えかけるものがあります。
フィッシャーの美しいタッチが描き出す陰影と、恐れずにもう一歩を
踏み出すことで生まれた表現の深さ、表現しようとする情熱は
とても並みのピアニストのなせる業ではありません。
上手に弾こうなんてことは頭になかったに違いありません。
ベートーヴェンやブラームスがカデンツァを書き、
自身で演奏したであろう、ロマンチックでさえあるこの曲に
フィッシャーの解釈はピッタリだと思います。そしてこの協奏曲が
歌劇「ドン・ジョヴァンニ」と同じニ短調で書かれていることを
実感しました。


リヴィア・レフ
【Hyperion CDD22020 】
リヴィア・レフ(ピアノ)

メンデルスゾーンの無言歌全集です。リヴィア・レフは
ハンガリー生まれ、12歳でモーツァルトの2台ピアノのため協奏曲で
デビュー、リストアカデミー、ライプチッヒ・コンセルヴァトワールと
ウィーン・コンセルヴァトワールに学びました。彼女は来日したことも
あるようですが、日本ではほとんど無名の人です。
無言歌集は大好きですが、あまり技巧を必要としないせいかプロの
演奏会では採りあげられる機会の少ないもので、子供たちの発表会で
よく使われます。ここでのレフの演奏はとにかくエスプレッシーヴォに
音楽がとても自然に流れます。人柄が想像できるような、優しさ、
優雅さ、慎み、慈しみが、人として忘れてはいけない大切なものを
音楽の中に感じさせてくれます。実際にこういったことが出来る
というのはすごいことで、最初の音の立ち上がりから何かをきちんと
語りかけてくれます。言葉のない歌だけに直接そのメロディーが
絶妙な語り口でさっと直接心に届きました。大ピアニストたちには
もっと個性的に、もっと踏み込んだ表現をする人たちもいるでしょう。
それはそれ、レフの演奏を少しでも貶めるものではけっしてありません。
なぜなら「ずっと聴いていたい、同じ曲をもう一度繰り返し聴いてみたい」
という気持ちにさせてくれる経験は稀有のものですから。




yatchan2003

Author:yatchan2003
2003年から活動開始。
音楽への想いを伝えたい!
お客さまと共に楽しみたい♪
をモットーに進化中。