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2012 / 02
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プレトニョフ
【DG 00289 477 5378】
ミハイル・プレトニョフ(ピアノ)

チャイコフスキーのピアノ曲と言えば、アマチュアが触れてはいけない
ピアノ協奏曲、少し知名度が下がりますがグランド・ソナタ、
そして親しみのある「四季」までかと思っていましたが、
作品72として18の小品集というのがありました。小品を一つにまとめて
一曲に仕上げるのはシューマンのお得意の分野でしたが、
そんな高踏なことは措いて、ここでは「ちょっとシューマン
(あまりシューマンっぽくないけど)」という題名のものがあったり、
「ちょっとショパン(ちっともショパンじゃないけれど)」なんてのも。
作曲者の遊び心が溢れています。私は総じて、「アンプロンプチュ」や
「踊り手のマズルカ」なんかのリズミックなものが好きです。
プレトニョフはチャイコンの優勝者。さすがに余裕綽々で
自由にリズムを操り、音色を変えながらこれらの小品をスケール大きく
描き出します。「コンセール・ポラッカ」はとても堂々としていて
聴き映えがしました。最近は指揮のほうが優先している印象がありますが、
希望としてはピアノをもっと深化させてほしいです。

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「キャンディード」のワルツはバーンスタインの曲です。
「オーケストラの見ているのもの、あるいは踊るコンダクター」という
YouTubeの画像ですが、ハフのブログで紹介されたものです。
あまりの可笑しさにここで採りあげることにしました。
暗い、後ろ向きの世相の中、おなかの底から笑えるものと
久しぶりに出会いました。オーケストラの団員はいったい指揮者をみて
演奏しているのでしょうか?N響アワーで見る限りそうはみえませんね。
踊るコンダクター、ということであればカルロス・クライバーの
ウィーン・フィルとのニュー・イヤー・コンサートを思い出しましたが、
この動画の何某さんももっとコミカルに、コケティッシュに
やってくれています。客席を向いている歌手にはきっと彼の姿が
見えなかったんでしょうけれど、オケのメンバーは笑いをこらえるのに
必死なはずです。でもそうとも感じられないのはやっぱりオケは
指揮者なんか見ないで演奏しているのでしょうね、きっと。
もし会場がサントリーホールであってもこれをやったかなあ・・
楽しみましょう!!

ミキモト
御木本澄子 幸せの旋律
石川康子 (著)世界文化社

藝大のピアノ科の学生は「御木本参り」をするという話を
以前から耳にしていて、この独自のメソッドの存在にとても
気にかかっていました。事実、門下からは多数のコンクール入賞者や
プロのピアニストを輩出しています。御木本澄子さんは真珠のミキモトの
元社長夫人です。大正末に上流階級家庭に生まれ、現在に至るまでの
波乱万丈の人生、それを取り巻く多くの政財界の著名人達が
きら星のごとく登場し、日本の近代史の一面をうかがい知ることが出来ます。
著者、石川康子さんの頭脳明晰さを感じさせる文章も読みやすく、
印象的なものです。女性は結婚し夫に親に尽くすという価値観の時代に、
御木本夫人としてのご苦労はあったようですが、為すべきことはもちろん、
何事にも前向きに全力を持って取り組む姿勢に新鮮な驚きがありました。
ピアノに情熱を注ぎ、自身のピアノ奏法上の弱点克服の為に解剖学の視点で
指のトレーニング研究を重ねる、というアプローチは馬の絵を描くのに
解剖学を勉強した、レオナルド・ダ・ヴィンチを彷彿とさせます。
原動力は旺盛な好奇心と探究心で、英語やフランス語の習得も
その副産物でした。さて、肝心な御木本メソッドです。この本では
具体的なことにはあまり触れていないのですが、メソッド本も出版され、
トレーニングボードも市販されていて多くの方々の支持を得ているようです
。その効果を確かめるのは実践あるのみですが、私も指を痛めないように
気を付けながら挑戦してみたいと思っています。


ハフ2
【Virgin Classics 7243 5 61498 2 3】
THE PIANO ALBUM
スティーヴン・ハフ(ピアノ)

当代随一のヴィルティオーゾ・ピアニスト、ハフが
アンコールピースばかりを集めたものです。
2枚組の中にバッハからパルムグレン、リチャード・ロジャースまで
40曲も(!)はいっています。この膨大なレパートリーは
これがアンコールピースではなくハフが本当に好きなものだけを
拾ってきて録音したにちがいありません。一般的なものはほとんどなく、
初めて耳にするものばかりというのもすごいですが、なかには
パデレフスキーのメヌエット(こんなにスケールの大きな曲
だったっけ・・!?)なんかもあり、19世紀、名人芸が
もてはやされていたころのもの(サンサーンスの「白鳥」の
ゴドフスキー版(!)のように)がたくさん入っており、
それを易々とひと筆で書いてしまうクールな名人芸に酔いしれます。
彼の手にかかると、たとえばチェルニー、あの練習曲のチェルニーの
作品でさえ(!)とたんに宝石の輝きを放ちます。
こんないい曲なんだ、なんて手を出そうものなら
魔法を解かれた宝石はすぐにガラス玉になってしまいました。



マキシム
【ワーナーミュージックジャパン WPCS-4880】
マキシム・ヴェンゲーロフ(ヴァイオリン)
イタマール・ゴラン(ピアノ)
「ザ・ヴィルトゥオーソ」という表題です。
ヴィニャフスキの「伝説曲」が大好きで、とくにヴェンゲーロフの
優しいそよ風のようなダブルストップで弾かれる美しいメロディーに
胸がキュンとしてしまいます。チャイコフスキーの「スケルツォ」も
速いところはとてもアマチュアどころかプロでも絶対にこうはいかないな、
って思うくらいの切れ味とメロディーのなつっこい、そうでありながら
いやらしくないセンスの良さ。本当にこの人のヴァイオリンに
魅せられていました。そのヴェンゲーロフは数年前に
故障してしまってから、その後ほとんど消息が聞かれなくなって
しまいました。これほどの逸材がほんの短い活動期間で芸術家としての
生命を断念しなければならなかったことは本当に哀しいことです。
ボーナス・トラックには日本のファンのために竹内まりやの
「元気を出して」が入っています。今の私たちへの応援メッセージにさえ、
きこえてしまいますが、本当はそっと彼にかけてあげたい言葉でした。

アルゲリッチ
【EMI 7243 5 57468 2 5】
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
ルノー・カプソン(ヴァイオリン)ゴーティエ・カプソン(チェロ)

アルゲリッチのルガーノ・フェスティヴァル2002からのライヴ録音です。
近年、アルゲリッチはほとんどソロコンサートを滅多にやらなくなって
しまいましたが、アルゲリッチとその一座はピアノ連弾、
2台ピアノを含む室内楽を日本でも積極的に取り上げています。
一言でいうなら現代的なスピード感溢れるスポーツカータイプの
スタイルですが、ここではその一座の番頭格の二人、
ラ・フォル・ジュルネでも来日したカプソン兄弟との
メンデルスゾーンの1番のトリオ(メントリ)がお目当てです。
メントリはこのジャンルの作品としては最も有名なものでもあり、
事実ベートーヴェンの「大公」トリオよりも実演の機会が
多いようです。メンデルスゾーン特有の軽快さ、華麗さは美しい
メロディーと相まって、弾くもの、聴くものを夢心地に
運んでくれます。アルゲリッチのピアノと弦の兄弟の息の合った
アンサンブルはピアノ対弦2名という構図となって曲想にぴったりです。
ただ推進力の強いピアノは、メンデルスゾーンにぴったりと
はまりますが、録音のせいもあってルノーのヴァイオリンに
ちょっと冴えが足りません。ゴーティエのチェロは素晴らしい
反応をみせているスケルツォの切れ味も捨てがたいですが、
なんといっても二楽章のしみじみとしていながら、
背筋の伸びた佇まいが何とも美しい演奏でした。


ドナルドキーン
音楽の出会いとよろこび
ドナルド・キーン著 中矢一義訳
中公文庫

日本を愛し、日本人以上に日本のことを知り尽くしている
ドナルド・キーン氏。クラシック音楽が大好きということで
どんなふうに日頃音楽に接しているのかを知りたくて読んでみました。
本の中身は「聴く」ことの喜びに溢れたもので。戦時中、蓄音機と
SPレコードを担いで最前線まで出かけて行った、などという
とんでもないことまでが披露されていました。そしてオペラが
大好きらしく、相当のページ数がそれに割かれています。
残念ながら、私はオペラにはそれほど馴染みがなく、
作品の名前は知っていてもそのほとんどは聴いたことすらないので、
彼のオペラへの情熱しか受け止めることが出来ませんでした。
ただ、「マリア・カラスを偲ぶ」という一項だけは
フランコ・ゼッフィレッリの自伝に出てくるマリアが作る側から見た、
そして聴いたマリアであったのに対し、こちらは純粋に聴く側としての
マリアを伝えてくれていて興味の尽きないものです。フランコは
人間カラスを追い求め、キーンはその歌のみからカラスの本質を
とらえました。共通するのはこの不世出のソプラノへの尊敬と愛情
でしょうか。相当に鋭く、厳しく日本の音楽評論家諸氏へも苦言、
提言をストレートに表現しているところもあり、ここなど権威主義的な
日本の音楽風土への警鐘ととらえました。大好きな音楽についての発言は
その後途絶えているようですが、今89歳にして日本永住を決意した
キーン氏が私たちと一緒に試練の時を過ごそうという、示してくれた
その気持ちと行動力に熱いものがこみあげます。


yatchan2003

Author:yatchan2003
2003年から活動開始。
音楽への想いを伝えたい!
お客さまと共に楽しみたい♪
をモットーに進化中。