FC2ブログ
2012 / 04
≪ 2012 / 03 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 - - - - - 2012 / 05 ≫

ミッシェルブロック2
【Guild GMCD7190】
ショパン・11のノクターン集
ミシェル・ブロック(ピアノ)

1960年のショパン国際コンクール。有名な事件がありました。
1位はポリーニ、これは全審査員一致、審査員長のルービンシュタインが
「ここにいるだれよりも上手い」、と称賛しましたが、
以下の順位の決定で事件が起きました。先のブログにも触れましたが、
ルービンシュタインの「自伝」(共同通信社刊)からその部分を
そのまま引用します。

『投票が済み、蓋を開けてみると、ポリーニが圧倒的多数の支持を
受けて優勝した。ところが驚いたことに、二位はピアノをたたいて
いただけのロシアの女性の手に渡り、三位はおそらくその容貌が
多くの審査員に気に入られたと思われるイラン人の女性、
四位は才能はゼロのハンサムなロシア人、五位と六位はここまで
残るべきではなかったポーランド人、十位は日本語でショパンを
弾いた日本人、そしてやっと十一位にミッシェル・ブロックであった。
私は明らかな不正を見過ごすことが出来ない人間である。
審議の間、私は他のもののように後ろ盾のないブロックに対して、
審査員たちが敵意に満ちた態度を示すのに気づいていた。
委員長代理のズビグニエフ・ドルゼヴィエツキによって投票の結果が
発表されると、次は私が審査委員の労をねぎらい、名誉委員長に
えらばれたことを感謝する番だった。終わって席につくかわりに
私は声を張り上げて、審査員に宣言した。「皆さん方の委員長として、
ここにアルトゥール・ルービンシュタイン賞とでも呼ぶべき、
特別賞を加えたいと思います、この賞は第二位に相当する賞金を伴い、
私はこれをミッシェル・ブロック氏に与えます」』

その2年後、ブロックはアメリカでワイセンベルク、クライバーンらが
名を連ねた栄えある「レヴェントリット賞」の表彰を受けています。
そして、ここの日本人は田中希代子さんのことでショパンコンクール
における日本人初の入賞でした。ここにそのブロックのノクターンの
演奏があります。ほとんど録音を遺さなかった人ですが、
ようやく自分の耳でその実力を判断できるものが手に入りました。
「静」の音楽です。でもなんときめ細やかな奥深い表情を紡いでいく
ことでしょう。決して聴く者に緊張を強いる音楽でないし、
冷たい音楽でもありません。スケール感とか天才のインスピレーションに
溢れているわけではないにしても、少なくともこのノクターンは
超一級の演奏だと思いました。実際ジュリーニとのラヴェルもすごかったし。
1997年に引退して静かで幸せな余生を送っているそうです。

スポンサーサイト

ぷれりゅうど
ぷれりゅうど
芥川也寸志著
筑摩書房

芥川也寸志さんは天才作家・芥川龍之介の3兄弟の末っ子で、
作曲家です。アマチュア楽団の育成者でもあり今の新響という
アマチュアきってのオーケストラを創設、はぐくんだこと
でも知られています。この本の出版は1990年ですから
20年以上前のもので偶然古書として手に入ったものですが、
軽いエッセイ風に書かれていても、その内容は現代にも
つながっています。とにかく物事すべてに対する視点が
きちんとしている、つまり彼が教養豊かな音楽家だった
ということがよくわかります。
父の書斎に蓄音機と数枚のレコード(SP)があった、
そしてそのレコードの大部分がストラヴィンスキーだった、
というのには恐れ入りました。また「アマチュア賛歌」という
1章が設けられていて、うん、イマジンのことを言ってくれている、
これぞわが意を得たりとばかりこのブログに転載してしまいましょうか、
と思ったら、新交響楽団のHPの中にちゃーんと掲載がありました。
ちなみにイマジンでは新交響楽団で弾いていた人も参加しています。
なかなか文筆のアマチュアらしい、熱の入った記述です。
ご興味のある方はこちらをどうぞ。
http://www.shinkyo.com/04history/

ブラームス
【SONY SRCR 1710】
ジュリアード四重奏団 ワルター・トランプラー(ヴィオラ)

ブラームスの弦楽五重奏曲にチャレンジです。
第1番の出だしの音をきいただけで、ふわあっとブラームスの世界が
拡がります。とても柔らかくそしてこんなにいい音で始められたら
そのあとは保証されたようなもの。それにしてもどちらも渋い音楽ですよ、
これは。どちらかというと壮大な曲想の2番が好みですが、
これの第二楽章のアダージョの深々とした旋律が印象的です。
人生との別れを予感した時に、ベートーヴェンは諦念を著しましたが
ブラームスにおいてはむしろ懐かしい日々を回想し、慈しんでいるようです。
ブラームスの五重奏曲とくればクラリネット五重奏曲、ピアノ五重奏曲
という大変な名曲があります。勿論音楽のあり方は全然違っても、
人気の点ではいまひとつであっても、このヴィオラ五重奏曲(?)は
その質、量ともに決して劣るものではないことを確信しました。
さてジュリアードといえば、創立者でもあるロバート・マンその人を
指すといっても間違いではありません。正確無比を売物にした時期も
あったようですが、むしろ音楽の伝統のない大地からのアプローチの仕方に
一つの回答を与えてくれたと思います。この録音(1996年)は
比較的新しく、円熟のジュリアードを聴くことが出来ましたが、
実はマンの最後のシーズンだったそうです。その後、マン亡き後も
まだこのジュリアードカルテットは名前を残し
その看板を守り続けているようです。

ハイフェッツ
【DG 00289 477 6269】
ヤッシャ・ハイフェッツ(ヴァイオリン)
ミルトン・ケイ、エマニュエル・ベイ(ピアノ)

ヴァイオリンの王様の登場です。泣く子も黙るハイフェッツ、
さすがにここにあるような小品(しかもたぶんコンサートの場では
ほとんど弾いたことがないような)でさえも堂々としたヴィブラート、
正確無比な音程、微妙なルバートに支えられた表現、
そしてガルネリ・デル・ジェスの銘器から引き出される輝かしい
音色によって堂々とした印象を与えてくれえます。
フォスターの懐かしい歌も、ガーシュインの「ポーギーとベス」も
どれもに耳を引き付けられてしまい、決してBGMなんかになるような
ものではありませんでした。おまけにはピアノを弾いたトラックと
ビング・クロスビーのオブリガートまで登場します。
今でもプロのヴァイオリニストにとって神様的な存在であることを
改めて実感しました。このCDの録音は第二次大戦直後くらいに
アメリカのデッカという会社と契約により行ったものですが、
戦時中連合軍の慰問を積極的にこなしていた人の録音を
ドイツの看板レーベルのもとからリリースするという時代です。
商売優先とはいえ、フルトヴェングラーをはじめとする
ドイツの音楽家たちのレーベルを思うと隔世の感を禁じえませんでした。


この動画を見ると、いまでは手軽にできる録音という行為が
真面目にやればやるほど、滑稽なくらい大変な作業であったことが
よくわかります。電気を使わない録音が直接ワックスに音の振動を
彫り付けた、一発勝負でできあがったことを考えると、古の名人たちを
聴く姿勢も変わってしまいそうです。
HIS  MASTER'S VOICE、は省略するとHMV。有名なCDやレコードの小売店
と思っている方も多いと思います。しかししかし、有名な日本ビクターの
マークは実はオリジナルはこのHMVのニッパー君なのです。
実際のストーリはこの動画のようだったんだろうと、思うと
なお一層親しみがわいてきます。その商標権がどのような変遷を辿ったのか
わかりませんが、LPレコードではEMIの輸入盤にこのマークが確かに
ついていましたが、日本ビクターと契約のあるアメリカのRCA・Victorには
どこを探してもついていませんでした。そしていまではこのマークを
使うところはもうどこにもありません。味わいのある、愛着のある
ものでしたが時代とともにどこかに消えてしまいました。


ポリーニ
【DG 459 683-2】
マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ

ポリーニは王道を歩むピアニストには違いありませんが、
このところCDなどの論評では大きく評価が分かれているようです。
あまりにも鮮烈なショパンの「練習曲集」でのデビューが
災いしているのでしょうか?そろそろ自分自身で判断してみようと
手にしたのが「バラード」を中心とした一枚でした。
結論を先にするなら、私は○をつけたいと思います。
というかこういうのもあり、という○。音楽そのものは先の
「練習曲集」の延長線上にある演奏だと思いますし、
これをダメというのであれば、それは彼のリリースするものに
その実力以上の何かを期待しすぎることからくるものでは
ないでしょうか?もっと感動させてくれ、もっとできるはずという。
端正という単語には個性がないということと裏腹ですが、
それは納得済みだったはずですし、何がしたいのかわからない、
ということも同じようなくくりになります。1番の演奏を聴いて
すぐにわかるのは何も足すことができないし引くこともできないことでした。
そして2番のプレストの鮮やかなピアニズム。みんなが驚き絶賛したものが
やはり宿っていました。「練習曲」と違うのは「バラード」には内容が、
物語が、ショポンの心の叫びがあるんです。
実際、感動したいなら別の演奏もありそうです。


yatchan2003

Author:yatchan2003
2003年から活動開始。
音楽への想いを伝えたい!
お客さまと共に楽しみたい♪
をモットーに進化中。