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2012 / 07
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やさしい訴え
「やさしい訴え」小川洋子著 文春文庫
小川洋子さん、芥川賞作家。「博士の愛した数式」は愛読書。
で、チェンバロ製作者が大きな比重を持つこの小説は、普通の単なる
音楽愛好者というだけでは描けるほど、甘いものではありません。
内容については多くの方が紹介しているのであえてそれはここでは
触れないことにしますが、どろどろした人間関係を描いているのにも
かかわらず、登場人物たちの心の静かな動きが、人間界を超越したもの
のように感じられます。クラシック音楽という西洋合理主義の結晶
ともいうべきものをモチーフに選び、ピアノではなくチェンバロを横糸に
通したことから、こういう風にしか描けなかったのかもしれません。
そしてチェンバロの製作者という特異性もルッケルスやフレミッシュ、
そんな名前がすらすらとでてくるところに作者の深い研究のあとが
見られますが。一般の読者を対象にしたことを考えると、
少々きついかもしれません。ラモーの「やさしい訴え」くらいならまだしも、
「預言者エレミアの哀歌」は普段、音楽にかかわっているつもりの
私にとっても初めての曲名だったし、唯一登場する演奏家の名前は
グスタフ・レオンハルト。相当なオタク小説でもあります。
さて、このあたりで「やさしい訴え」、チェンバロがないので、
ピアノで挑戦してみようかな。

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メンデルスゾーンP4
【ユニヴァーサル UCCG-1559】
メンデルスゾーン 2つのピアノ四重奏曲
フォーレ・カルテット

フェリックス・メンデルスゾーンといえば大金持ちのボンボンという
印象があって、音楽そのものまで幸せに満ちた、とか苦労の跡がないとか、
その軽い音楽へのイジワルな態度が時々見られるのは残念なことです。
ピアノ音楽だけをとっても「無言歌集」にある「ヴェニスの舟歌」とか
「春の歌」なんかは子供たちになくてはならないものですし、
ヴァイオリンには超有名なコンチェルトがあって、「真夏の夜の夢」からは
結婚行進曲。これを大切な日に耳にしたカップルの数知れず。といった具合。
そのフェリックス・メンデルスゾーンは、若いころはまるで
「ベルサイユのバラ」にでてくるオスカルのような美少年。
これじゃあ嫉妬されても仕方がありません。そんなフェリックスが
若干15歳で作曲したのが作品1,2,3とされたピアノ四重奏曲でした。
彼の書いた室内楽ではピアノ・パートがとても大変です。
みんなが弾きたがる「メントリ」しかり、ただ真っ黒な譜面をみただけで
気持ちが萎えてしまうのですが、このピアノ四重奏曲も例外ではありません。
縦横無尽に走り回るピアノに3人の弦楽器奏者がからみあって実に爽快な
音楽ですがやるほうは大変。それにしてもこのフォーレ・カルテットの
上手なこと!もっさりしていたら面白くもなんともない音楽なのに、
切れ味抜群の奏者たちの練り上げたアンサンブルは少なくともドキドキ、
わくわく。感動することとは違うかもしれないけれどとても熱くなる
。実際、こういう音楽があってもいいですね。
でも2曲続けてはさすがに食傷気味ですけれど。




イザベル・ファウスト
【harmonia mundi HMC901833】
イザベル・ファウスト(ヴァイオリン) ジャン=ギアン・ケラス(チェロ)
アレクサンドル・メルニコフ(ピアノ)
ドヴォルザーク ヴァイオリン協奏曲 Op.53 & ピアノトリオ Op.65

このCDのお目当てはドボ3ことOp.65のピアノトリオです。
このトリオは「ドゥムキー」ほどのポピュラリティはありませんが、
音楽的な充実度は上です。しっかりした4つの楽章をもち、
なかにはドヴォルザークお得意のお涙頂戴の美しいフレーズが
散りばめられています。ブラームスのトリオを別とするなら、
ロマン派のピアノトリオのなかではトップランクの傑作で、
イマジンの公演でも採りあげたこともありました。
さて、ファウストとメルニコフの録音はシューベルトのヴァイオリンと
ピアノのための作品集で絶賛しましたが、ここでは彼らにケラスという
もう一人刺激的なチェリストを加えています。作品にふさわしい、
スケールの大きな演奏で、ダイナミックレンジの大きさ、
ここぞという場面でのピアノの鋭い切込み、しみじみとしていて、
凛としたヴァイオリンのフレーズに酔います。チェロがもっと
主張していると尚いいかもしれません。室内楽的で語り合うような
アプローチではありませんが、「ソリスト達の実力、恐るべし」を
痛感させる素晴らしいトリオの演奏です

こるとう2
20世紀、決して忘れ去られることのできない音楽家、
アルフレッド・コルトーは1952年にとうとう来日ました。
南米での演奏会の後、朝日新聞の主催で25回の演奏会を
行うためです。三つの主要なプログラムは、
(1) ショパンの「練習曲」全曲と「前奏曲」全曲
(2) 種々のロマン派作品
(3) シューマンとショパン
東京と大阪で三回ずつ、ショパンのヘ短調協奏曲、サン・サーンスの
第四協奏曲などによる国内オーケストラとの共演もありました。
下関と宇部での演奏会の時に川棚村に3泊しています。
そして川棚の風景を「こんな美しい夢のような風景は見たことがない。
日本はプレ・ペイ(本当の国)だ」と絶賛し、その海岸の一つの島に
彼の名前をつけ、「孤留島」(コルトー)としました。
その時に「この上なく美しいこの島に、友情によって書かれたこの碑文が、
願わくば絶えず夢の中に住む精神を持った、いちフランス人音楽家の
想いをいつまでもとどめておくことができますように」と記念碑の銘文を
起草しています。川棚温泉ではコルトー没後50年、来日60周年を
「コルトー・Wメモリアル・イヤー」として位置づけ、
多彩な音楽文化イベントを開催するとのこと。
その一環として「コルトー・ホール」の音響改善と、60年前の約束を
守るべく「記念碑」の建立を行いたいとのことで、広く「ご寄付」を
募っています。コルトーの芸術を愛するものとしてこのブログにより、
勝手に応援させていただきました。

連絡先は、「コルトー音楽祭実行委員会 実行委員長 友永 次郎」
〒759-6301 山口県下関市豊浦町川棚5180 
川棚温泉交流センター・川棚の社内
TEL 083-774-3855 FAX 083-774-3856


サティ
【harmonia mundi HMC 902017 18】
エリック・サティ 最後から2番目の思想
アレクサンドル・タロー(ピアノ)ほか

これはとても素敵なアルバムです。まずパッケージの良さに心を奪われます。
エンボスされたサティ独特の、味のある書体。タローの想いの一杯つまった
70ページを超える解説書。その隣には芸術的な書体のサティの手紙。
もうひとつ扉を開けると、Soloという赤、隣にDuosという白といったぐあい。
ここまで凝らなくてもとおもうくらい隅々まで目配せがゆきとどいています。
さっそく1枚目のSoloです。風変わりな音楽、風変わりな人物。
でも「ピカデリー」なんかがでてくると思わずニヤリ。
「あららら、これってサティだったんだ」なんてね。
超クールでクレヴァーなタローのピアノにはサティがよく似合います。
「メドゥーサの罠」ではプリペアド・ピアノも。これが突然現れると
本当にびっくり。プリペアド・ピアノはジョン・ケージが開祖かと
思っていましたが、実はここではこれがタローの創作でした。
でも効果は満点。もう1枚の「白」はタローの人脈を駆使してのDuoです。
エリック・ル・サージュとの4手連弾による「梨の形をした3つの小品」
、息があっているのはもちろん、響きが厚くなった分聴きごたえ十分。
そしてシャンソン歌手、ジュリエットとの「ジュ・トゥ・ヴ」の雰囲気に
酔いしれます。こういうのが嫌いな人とはきっと仲良くなれません。
そしてイザベル・ファウストの何かが乗り移ったようなヴァイオリンとの
「右や左にみえるもの」。決して聴き飽きることのない音の、いえ音楽の
饗宴でした。とっておきの1枚が増えました。
ハルモニア・ムンディに栄えあれ!


枠
モーツァルト研究家であり、国立音大の学長を務められた
海老澤 敏さんによるジャン=ジャック・ルソーの展示会が
武蔵野市民文化会館でありました。ルソーについては中学校の頃に
教科書に載っていた「社会契約説」と「むすんで、ひらいて」の
メロディーの作曲者として(実際には原型ではあっても作曲したのは
別人とのこと)、というくらいしか知識をもちあわせておらず、
音楽家でもあり、これで一家をなしていたということは目から鱗の状態
でした。「エミール」「告白」などの代表作の初版本の展示のほかに
「音楽辞典」(これが厚い・7-8cmもあるでしょうか、
本格的なものとしてフランスで初のものとのこと)なるものがあって
目の前でそれを確認することができました。そしてルソーにとっては
写譜が(1万ページ以上がなされたそうですが)生活の収入源と
なっていた時期もあったようで、コピーイストという職業がれっきとして
存在したしるしに、この音楽辞典には7ページにもわたって解説が
なされているそうです。展示品の中にあった「本物」の写譜されたものは
とても美しいものでした。また、オペラ「村の占い師」は、
モーツァルト最初のオペラ「バスティアンとバスティエン」の
下敷きではないのか、とのこと。とにかく「自然に帰れ」という思想家
としてのルソーの音楽家としての一面を観ることのできた、
大変貴重な経験でした。海老澤さんご本人から丁寧な解説をしていただき、
とても贅沢な時間でした。海老澤さん、本当にどうもありがとうございました。


コペンハーゲン・フィルハーモニーの団員がやってくれました。
フラッシュ・モブとは、インターネットなどの通信を介して、
不特定多数の人が集まり、目的を達するとさっと解散すること
らしいのですが、ここのフラッシュ・モブ、たった2分17秒で、
見事にその目的を達しました。
ほんとうに、心から音楽っていいものだなあって思いました。
朝の地下鉄、乾いた心にさあーっと瑞々しいものが拡がって、
みんなに笑顔をプレゼントしました。そしてグリークの「朝」、
なんて清々しい音楽なんでしょう・・心から感動しました。
そして涙まで。モブ、私たちも丸ノ内線あたりで思い切って
やってみましょうか!?


yatchan2003

Author:yatchan2003
2003年から活動開始。
音楽への想いを伝えたい!
お客さまと共に楽しみたい♪
をモットーに進化中。