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2012 / 08
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B
「ルードヴィッヒ・B」
潮出版社 手塚治虫著

ルードヴィッヒ・Bとは言わずと知れたベートーヴェンのことです。
そしてこれが手塚治虫さんの絶筆となった未完の大作ということで、
いつか一度は読んでおかなければと思っていました。
ベートーヴェンという名前はクラシック音楽というジャンルを突き抜け、
その名を知らぬ者のない特別な存在であることを感じます。
日本で行われる、年末の第九演奏は年中行事として定着しているし、
ヨーロッパユニオン(EU)の国歌?も第九の「歓喜の歌」に
合意されています。では今なお音楽の頂点として君臨する
ベートーヴェンとはどんな人で、それが手塚治虫という別の頂点を
築いたひとのフィルターを通すとどのように見えるのかに
とても興味がありました。中身はクロイツシュタイン侯爵なる人物を
重要なモチーフとして登場させ、モーツァルトやハイドンとの
エピソードを巧みに織り込むことで、フィクションとノンフィクションを
交差させる手塚シェフの腕前は冴えに冴えています。
読み終えてから、ああ、これを完成させてくれたら・・と思いました。
手塚さんは巻末のエッセイに、「ぼくは自分がベートーヴェンと性格が、
ひどく似ているような気がします。気難しやで世間知らずで、
しょっちゅうカンシャクを起こして我儘で・・というところです。」
と書いています。そこまで同化してしまった作者からは音楽はもちろん、
ベートーヴェン自身への愛情というものさえ、感じることが出来ました。



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ザイラー
【Zig-Zag Teritories ZZT060501】
シューベルト・ヴァイオリン・ソナタ集
ジョス・ヴァン・インマゼール(フォルテピアノ)
ミドリ・ザイラー(ヴァイオリン)

フォルテピアノを弾いているインマゼールはこのジャンルにおける
第一人者です。近年ではピアノ奏者としてだけではなく、指揮活動も
チャイコフスキーあたりまでをピリオド・オーケストラで振ったり
しているようです。弦楽器についていうならストラディバリが
完成させて以来、ほとんど進歩(?)がないのですが、ピアノについては
その複雑な構造をもつ故でもあるのか、シューベルトの時代に比べて
似て非なるものに変身を遂げています。それは社会の変貌(ある限られた
人たちのものから一般大衆へ)の反映ととらえることもできます。
シューベルトの時代、まだピアノフォルテと呼ばれる楽器は今ほど
大きな音も出ないし、フレームは鋼鉄ではありませんでした。柔らかい、
そして典雅な響きはチェンバロほどではありませんが、弦楽器に
とてもよくブレンドされます。バランスもじゃませず、じゃまされずといった
感じでしょうか。インマゼールの演奏は好き嫌いの部分はありそうかな、
と感じさせられますが、なにより音が消えていくときの空気感が素敵です。
一方ミドリ・ザイラーのヴァイオリンはまだ古楽器奏法の完全燃焼までには
至っていないようですが、二人の音楽からはシューベルトの「こころ」とか
「気持ち」、そんなものが確かに伝わってきました。

ます
【harmonia mundi HMC 901792】
シューベルト・五重奏曲 イ長調 「鱒」op.114 D667
トリオ・ヴァンダラー
クリストフ・ゴーゲ(ヴィオラ)ステファン・ロジェロ(バス)

シューベルトの室内楽はアマチュアの世界では採りあげられることが
少ないものです。ピアノ三重奏曲、弦楽五重奏曲など大変な傑作が
遺されていて、演奏の困難さも特別ではないにもかかわらず、です。
ただこの有名な「鱒」の五重奏だけは別で、コントラバス奏者参加の時には
例外的によく演奏されることが多いものです。ピアノ・パートを見ると
まったくピアニスティックには書かれていません。右手と左手のユニゾンが
とても多く、アンサンブルの一部というように感じます。
これはシューマンやブラームスなど他のピアノ五重奏というジャンルとは
全く違うスタイルです。音楽もシューベルトが時折見せる「深淵=死」が
やはりぽっかりと空いている恐ろしい瞬間があり、なかなか油断できません。
トリオ・ヴァンダラーの演奏はピアノ、ヴァイオリン、チェロの3人の核が
しっかり固めていて、通常やられているように弦楽四重奏の三人に
ピアノが呼ばれたようなアンサンブルとは違います。
ピアノがアンサンブルの一部となるような書法で書かれている以上、
ピアノトリオが核になって、というほうが真っ当であり、
実際によそ者ではないピアノが実にうまくブレンドしています。
超のつく有名曲、10月のイマジンへ向け、猛練習をしています。

ギーゼキング作品集
【Le Menestrels LM001】
フランソワ・サルク(チェロ) 朴鐘和(ピアノ) 
瀬尾和紀(フルート) ローラン・ヴィグシャル(ピアノ)

ギーゼキングは20世紀最大のピアニストの一人です。
大変広いレパートリーを持ち、とにかく初めての曲でもピアノで弾く前に
暗譜していたとか、初見でどんなものも・・なんていう次元の違う伝説が
数多く残っています。「ライマー=ギーゼキングのピアノ奏法」
なんていう指南書もあります。このCDはそのギーゼキングが作曲家として
残した室内楽作品を集めたもので、「フルートとピアノのためのソナチネ」
(瀬尾さんのフルート、大健闘!)は、フルーティストの定番に
なってきている作品だそうです。事実この中にはこの曲のほかに
「ヴォルガの舟歌の変奏曲」とか「グリークのアリエッタの変奏曲」
なども収められていますが、冗長で散漫な印象となっているのに対して、
フルートのソナチネはなるほど定番と思わせるものも確かにあります。
作風はいわゆる現代音楽風なものではなく、ドビュッシーや
ブラームス(ずいぶん違いますね)の延長線上にあるもので、
やはりピアノパートを聴く限り、とても難しそうです。
普段はなかなか耳にすることのできないものばかりですが、
ギーゼキングという名前で興味を持ちました。


タシュナー
【Tahra TAH 350-351】
ゲルハルト・タシュナ-(ヴァイオリン)
ワルター・ギーゼキング(ピアノ)他

1941年から若干19歳になったタシュナ-は、フルトヴェングラー率いる
ベルリン・フィルハーモニーのコンサートマスターに任命されます。
このCDの録音は1943年から1949年にかけて行われたものです。
精神的にも肉体的にも想像を絶するような困難な時代にピークを迎える
という不運にもめげず、フーバイとフーベルマンに学んだ神童は
とても熱い演奏を聴かせてくれます。どの曲をとってもヴァイオリンの
白熱に圧倒されます。音そのものは多少粘りのあるもので、
効果的にうなりをあげるポルタメントと野太いヴィヴラートは
上品さとか、清潔さという言葉はあてはまりません。したがって
「ツィゴイネルワイゼン」はユダヤ系のヴァイオリニスト以上に
「はまって」聴こえてきます。熱いそして官能的な演奏で一気に聴く者の
心を鷲掴みにしてしまいます。そして古今のヴァイオリン・ソナタの大傑作、
ブラームスの第三ソナタはギーゼキングがピアノを弾いているので
音楽の安定感も抜群だし、このピアノがとことん役割と役目を
よくわかっていて対応しているので、全くうるさい感じがないのが
さすがです。これを聴いてしまうと、きれいに弾いただけの
ブラームスじゃ味がなくてつまらなくなってしまいます。



yatchan2003

Author:yatchan2003
2003年から活動開始。
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