2012/08/21 00:50:38
【Zig-Zag Teritories ZZT060501】
シューベルト・ヴァイオリン・ソナタ集
ジョス・ヴァン・インマゼール(フォルテピアノ)
ミドリ・ザイラー(ヴァイオリン)
フォルテピアノを弾いているインマゼールはこのジャンルにおける
第一人者です。近年ではピアノ奏者としてだけではなく、指揮活動も
チャイコフスキーあたりまでをピリオド・オーケストラで振ったり
しているようです。弦楽器についていうならストラディバリが
完成させて以来、ほとんど進歩(?)がないのですが、ピアノについては
その複雑な構造をもつ故でもあるのか、シューベルトの時代に比べて
似て非なるものに変身を遂げています。それは社会の変貌(ある限られた
人たちのものから一般大衆へ)の反映ととらえることもできます。
シューベルトの時代、まだピアノフォルテと呼ばれる楽器は今ほど
大きな音も出ないし、フレームは鋼鉄ではありませんでした。柔らかい、
そして典雅な響きはチェンバロほどではありませんが、弦楽器に
とてもよくブレンドされます。バランスもじゃませず、じゃまされずといった
感じでしょうか。インマゼールの演奏は好き嫌いの部分はありそうかな、
と感じさせられますが、なにより音が消えていくときの空気感が素敵です。
一方ミドリ・ザイラーのヴァイオリンはまだ古楽器奏法の完全燃焼までには
至っていないようですが、二人の音楽からはシューベルトの「こころ」とか
「気持ち」、そんなものが確かに伝わってきました。
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