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2012 / 09
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ムストネン
【DECCA 436 834-2】
ベートーヴェン ピアノ変奏曲集 
オルリ・ムストネン(ピアノ)
フィンランドの生んだ奇才、作曲家、ピアニストのムストネンの
名前を知ったのは思い起こせばチェリストのイッサーリスとの共演盤を
聴いたときですが、2009年に二人はロンドンのウィグモア・ホールで
ジョイントリサイタルを開いたりしています。そのイッサーリスは
ムストネンとやっていると次から次へと面白いアイディアが出てきて
とても面白いんだ、みたいなことをどこかに書いていました。
さてこのCDにはベートーヴェンの書いたピアノのためのヴァリエーションが、
8曲も入っています。規模の大きい「エロイカ」の主題によるもの
(Op.35)や、Op.34の自作の主題による変奏曲なんかは
とてもいい曲だと思います。ムストネンのピアノは現代のグールドみたいな
感じで、まず音そのもののありかたがとても個性的です。
そして表現の幅が広く、何よりも頭の良さを感じさせますが、
スケールが大きいわけではなく、こんなふうに弾けるのかと
感心することしきりです。楽譜からこれだけ多くのものを引っ張り出す
能力は本当に特別のものです。そしてここにあるのは、けっして
計算しつくされた冷たいものではなく、ハートもしっかりはいって
聴き疲れすることもありません。好き嫌いがはっきり出そうな演奏ですが、
勿論私は◎です。





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カーゾン
【DECCA 448 578-2】
クリフォード・カーゾン(ピアノ)
イギリスの音楽家は我が国ではあまり人気がありません。
本場志向というか、ドイツ物はドイツ人、フランス人はフランス人
じゃなきゃ、みたいなご当地主義は自身の判断による術が無いことの表れ
かもしれません。いまでこそ、サイモン・ラトルは神様のごとく信奉されて
いますが、彼にしたってもしイギリスにとどまっていたらどうだったか
わかりません。ソロモンを除くとイギリス最大のピアニストがカーゾンでした。
でも学者さんのような風貌がますます不人気に輪をかけてしまっているのかも。
ブラームスの協奏曲で圧倒的な演奏を聴かせるカーゾン、ソナタを弾かせて
悪かろうはずがないだろうとつい手にとったのがこのCDでした。
予想通り、豪快なスケール感と繊細なルバートに支えられた圧倒的な演奏です。
こういった演奏を聴くとブラームスのソナタは先のリヒテルも
そうだったようにとても女性の手に負える代物ではなさそうです。
それにしても余白の間奏曲の慈しむような音楽の何と美しいのでしょう。
シューベルトの長大なソナタにしても、カーゾンの心と技術から、
言いたいことがストレートに伝わります。ケンプのようなあたたかさとは
別物ですが、本物はここにもあります。大きな音楽宇宙を描くその筆致の
確かさはソロモンのシューベルトにも通じます。


ラプソディイーイン・ブルー
【BIS-SACD-1940】
ガーシュイン作品集
フレディ・ケンプ(ピアノ)
アンドリュー・リットン指揮 ベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団
1998年第11回チャイコフスキー・コンクールで第三位になり、
ここからフレディ・ケンプのキャリアがスタートしています。
この時は5位までのほかの4人はすべてロシア人でした。
コンクールではよくある「優勝者は彼だ」という聴衆の圧倒的な支持の中
「コンクールのヒーロー」となり一躍脚光をあびました。
来日の回数も多く、日本でもとても人気の高いピアニストです。
さて、ジョージ・ガーシュイン。「ラプソディー・イン・ブルー」は
演奏会で採りあげられる機会も多く、クラシック・ファンにもおなじみです。
この曲のオリジナルは小編成でもっとジャズライクなものであったようで、
グローフェが担当、ポール・ホワイトマン楽団が演奏したそうです。
大オーケストラ版はその後ずっと後で完成されています。
事実聴いてみると弦はヴァイオリンしかいなくジャズ色強めに。
リットンのオケもとても立派で恐るべきクラシック奏者の実力をみせました。
ただし少々フレディ・ケンプのピアノともども上品に感じてしまいます。
ちょっと濾過されたジャズみたい。でもこの手のものはぶつぶつ言わないで
大いに楽しむべきなのでしょう。事実初演の時には、聴衆にラフマニノフ、
ハイフェッツ、ストコフスキー、ストラヴィンスキー等が名を連ねていました。
なんとすごいこと!ガーシュインは即興で派手にやって
大いに楽しませてくれたようです。


ケンプ
【IMG Artists BBCL 4114-2】
ヴィルヘルム・ケンプ(ピアノ)

ウィルヘルム・ケンプほど日本人にお馴染みのピアニストは
いないのではないでしょうか?戦前から来日回数も多いです。
そして何よりベートーヴェンのピアノソナタといえば、
バックハウスと並ぶものとされていましたし、また当時は
そういうものかと思わされていました。しかし最近では
そのようなレッテルを張られ、ピアニストとしての資質を
賞賛されることもあまりなくなりました。事実ピアノの音が
美しいとか、粒が揃っているとか、ダブルトリルを速く弾けるなど、
ピアニストとしてどれほどのものかといわれると、ケンプ以上の人は
沢山います。ただ音楽家としてみたときにはどうでしょう?
このライヴ演奏からは無理のない、自然の流れから湧き出る音楽に
安心して身を任せることが出来ます。シューベルトが身近にあって、
心に直接語らってくれます。それはシューマンであっても、
ブラームスであっても感動は変わることがありません。
このような音楽を、その厳しさよりも優しさを、日本の人たちは
心から愛しているし、ケンプがいつまでも大切なピアニスト
であることに変わりはないのだと思います。





yatchan2003

Author:yatchan2003
2003年から活動開始。
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