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2013 / 01
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カラヤン
【DG 415 276-2】
アンネ・ゾフィー・ムター(ヴァイオリン)マーク・ツェルツァー(ピアノ)
ヨー・ヨー・マ(チェロ)
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリンフィルハーモニカー
ベートーヴェン トリプル・コンチェルト他

ムター17歳、マ25歳、カラヤン72歳の時の録音です。
ピアニストについてはよくわかりませんでしたが、今でも弦2人のソリストは
頂点にいます。この中ではマのカンタービレの美しさ、音色の美しさは
群を抜いて目立ちます。ムターはまだ音にも表情にも硬さが残るものの
自己主張はしっかりして立派。ピアニスト・ルェルツァーがどうして
ここで抜擢されたのかはよくわかりませんが、事実これが弦の
ドッペルコンチェルトなのでは、と思わせるほど存在感に乏しく、
平凡なピアノに終始しています。カラヤンとベルリンの楽師たちは
何の遠慮もなくソリストを飲み込んでしまいそうなくらいの勢いがあって、
普段のレコーディングの時よりも気持ちが前向きになっている様子が
よくわかります。このあと、ヨー・ヨー・マはサントリーのCMで
「リベルタンゴ」を弾いてスター街道をまっしぐら、でもすでにこの時点で
完成されていたことは新たな発見です。アンチカラヤン派から
いじめられていたムター、当時のヒヨコが今では美しい白鳥に。
ヴァイオリンの女王様として押しも押されぬ風格さえ漂わせていますが
演奏そのものもコクがたっぷりと。成熟するとはこのことです。
いまから30数年前、当時を思い出して懐かしさでいっぱいです。



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音楽の基礎
【岩波新書】 音楽の基礎  芥川也寸志著
(青版) 795

芥川さんのこの本は1971年に第1刷が出てから、手元にあるもので
1995年の第38刷となっています。この手のものとしては大変なロングセラー
でしょうし、音楽との係わりを深めていこうとする人たちに単なる興味から
教養としてのレベルまで高めてくれる優れた内容をもちます。
ただ音楽の知識が全くない人にとっていきなり読むのはむずかしいかも
しれません。それは他のジャンルの岩波新書にも言えることで、
実際に歯が立たなかったものも縷々ありました。音楽を志すものであれば、
絶対に知らなければならない「規則」とか「知識」があります。
よく考えてみると日頃ここに書かれていることがすべてきちんと
理解できていて演奏活動を行っているかというととてもアヤシイ。
あいまいにして放置されているものがいかに多いことか・・・。
これはきっと私だけのことではないに違いない、だからこそ、これほど
版を重ね、多くの人の座右の書になっている、と理解しています。
芥川さんの文章はまことに清潔、簡潔にそして核心に一気に到達します。
譜例もたくさん載っているので具体的でわかりやすいのが特徴です。
わかりにくい音階や和声のことを少ない字数で書いたものは
他に類例がないのではないでしょうか?さて、読み終わりましたが、
あいまいだったものがすべてクリアされてそれが演奏に
反映できているかどうか、皆様に判断をしていただきたいと思います。



トリフォノフ
【MARIINSKY MAR0530】
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 Op.23
 ダニール・トリフォノフ(ピアノ)
 ワレリー・ゲルギエフ(指揮)マリインスキー劇場管弦楽団

 
一昨年のチャイコフスキーコンクールの覇者、トリフォノフ、
旬のピアニストの新しい録音です。チャイコフスキーのコンチェルトの他に
リストの編曲したシューベルトの歌曲などが余白に収められています。
チャイコフスキーのコンチェルトはまずアマチュアには縁のないものですが、
(プロだって弾く機会を与えられた人は何人いるでしょう・)
聴くのは大好きで、豪快にそして胸がキュンとするようななつかしさも
いっぱいです。ホロヴィッツの異常燃焼もいいのですが、ここでの
トリフォノフ君、大いに健闘しています。タッチがしっかりしているので
全くぶれがないのはロシアのピアニストに共通する特長。
その伝統の延長戦にあり、キーシン譲りのしっかりと芯のある重いタッチ
と相まってこの曲だけに関して言えば、まさに王道を行く演奏です。
オーケストラを引き連れてグイグイと引っ張っていくドライブ感、
ゴゴーンと駆け上るピアノは酔わせてくれます。余白のリスト編曲の
「魔王」の表現の濃さにも驚かされましたが、天分を感じさせるアゴーギク、
幅広いダイナミズム、まだキーシンの洗練は身についていないものの、
きっと大家としての道を歩んでいくのでしょう。見守っていきたい一人です。


集合2
今年のスタートは新春にふさわしくオールバッハプログラムでした。
当初は夜から雪の予報も出たくらいの厳しい寒さの中、
開場の30分以上前から40人ほどの行列が入り口に出来たので、
慌てて開場時間を繰り上げて中に入って頂きました。
前回、前々回と小さい会場で、思うようにお客様にご案内できなかったので
今回こそは!と張り切って宣伝しました。
最終的には170名近くのお客様にご来場頂き、
大きな手ごたえを実感しました。

挨拶
まずは、幹事からのご挨拶。
今回は「バッハの旅路」というタイトルの通り、
バッハが十代の頃の作品から、晩年に至るまでの作品を並べました。
本来ならばチェンバロを使用すべきところですが、
今日は現代のピアノでの演奏をという話も。

お兄ちゃん
最初は、アルシュタットのオルガニストとなった18歳の時の作品、
カプリッチョ「最愛の兄の旅立ちに寄せて」をピアノソロで。
兄がスウェーデン王の近衛隊のオーボエ奏者となり、その別れに際して
作ったものです。作品に標題が付いた数少ない曲のひとつで、
4声のフーガあり、低音に番号のみの曲ありで濃い内容となっていて、
弾く立場の知性が試されるような気がしました。名ピアニスト達が
リサイタルに好んで取り上げる知る人ぞ知る名曲というのもうなずけます。

ガンバ
2曲目は、ケーテン時代の作品「ヴィオラ・ダ・ガンバ ソナタ第1番」。
バッハ自身がヴィオラ・ダ・ガンバ奏者のアーベルと演奏するために
作曲したと思われますが、後に両者の息子たちも再演し、子供時代の
モーツァルトに大きな影響を与えたとされています。
今回は、チェロとピアノでの演奏。チェロとピアノの右手、左手が
各声部を受け持つ3声の作りで、各所での旋律の出し方、
音量のバランスに苦心しました。

フルート
3曲目は、ライプツィッヒ時代、38歳の作品「フルートと通奏低音
のためのソナタ ホ短調」。ヨハネ受難曲や数多くのカンタータも
作られた充実した時代でもあります。緩・急・緩・急の4楽章の
しっかりした形式で、チェロとピアノの左手が低音を奏で、右手が
和声で彩ります。速い楽章では、縦横無尽に技巧をみせるフルートと
通奏低音の丁々発止のやりとりに息を呑むようでした。
また美しい3楽章ではピアノの右手がフルートと共に自在に歌い、
語りました。通常はフルートとピアノで演奏されることが多いのですが、
チェロが加わると一段と豊かな響きを楽しめました。


パルティータ
休憩を挟んでの第4曲目はケーテン時代に戻って、
無伴奏ヴァイオリンパルティータ。ヴァイオリンのあらゆる技巧を尽くした
スケールの大きな作品で、この有名な主題は、ブゾーニ、ブラームスなど
後に多くの作曲家が様々な編曲を行っています。この難曲を独りで人前で
暗譜で弾き切るというのは、並大抵のことではありません。
長い時間をかけてコツコツと練習を積み上げ、技巧を鍛錬した上での
渾身の演奏でした。集中力が途切れることなく最後まで見事に
弾き切った時には客席から「ブラボー」の声がかかり、熱い感動に
満たされました。

捧げもの
そして最後を飾る5曲目は、62歳の時の「音楽の捧げもの」より
トリオソナタを。ベルリンに赴いたバッハにプロシアの君主
フリードリッヒ大王が与えた主題を最高度の対位法を駆使して
書いた晩年の傑作です。大王の前で当時まだ生まれたばかりの
フォルテピアノで即興演奏を行ない、主題に基づいて3声、6声の
フーガを弾き、トリオソナタを加えて出版されました。
今回は、フルート、ヴァイオリン、チェロ、ピアノでの演奏でしたが、
各パートが複雑に絡み合う構成で、多様な和声も相まって拍節感を
保つだけでも苦労しました。難解な曲に挑戦して一歩ずつ進み、
ようやく終結に至った時には大きな達成感がありました。

拍手
万来の拍手の中、アンコールは、先のヴィオラ・ダ・ガンバのための
ソナタをトリオソナタの形で。先ほどとは違った音色での演奏に
この曲の別の魅力も感じられました。
今回は、バッハの持つ魅力を存分に味わいました。
お客様の中には「バッハが好き」という声を多く聞きましたが、
演奏する側としては、改めてその難しさに触れ、姿勢を糺す思いでした。

次回予告
さて、次回はガラリと趣を変えて
バルトークの弦楽四重奏曲第1番とブラームスのピアノ五重奏曲という
大曲に立ち向かいます。今一番の観光名所であるスカイツリーのお膝元、
浅草に程近い台東区の「ミレニアムホール」です。どうぞお楽しみに。


あけましておめでとうございます。

ライヴ・イマジンは、2003年の第1回公演から今年で10年目、
1月5日の公演で第24回目になります。
まだ10年、もう10年・・と振り返れば感慨深いものがありますが、
「継続は力」の言葉通り、一歩一歩進んでようやくここまで来た
という実感があります。

今までに、お客様、出演者、スタッフを始め多くの方々に励まして頂き、
支えて頂いたからこその10年でした。心より感謝申し上げます。
回を重ねるたびに、お客様と私達だけでなく、お客様同士も顔見知り
という温かい雰囲気も伝わってくるようになり、とても嬉しいです。

新春は初めてのオールバッハプログラムでスタートします。
ようやくバッハに挑戦出来るところまで来た、という思いもあります。
これからも常に向上心を持って前向きに取り組み、皆様の心に届く音楽を
お伝え出来るよう努力していきたいと思っております。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

ライヴ・イマジン一同

yatchan2003

Author:yatchan2003
2003年から活動開始。
音楽への想いを伝えたい!
お客さまと共に楽しみたい♪
をモットーに進化中。