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2013 / 02
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弦と響
「弦と響」小池昌代著 光文社文庫
この小説はクラシック音楽のジャンルの中で作曲家が最も大切にしていた
純粋な形式で最もクラシック音楽らしい、そして弦楽器四本のみという編成の
弦楽四重奏を主題にしてその人間模様が描かれています。弦楽四重奏の聴衆は
一説によるとこの東京においてさえ、250人くらいしかいないとききました。
その250人がある時は古典四重奏団を、ある時はエクセルシオを、そして
ジュリアード四重奏団をと渡り歩くと。音大の学生達に「ベートーヴェンは
何曲弦楽四重奏曲を作ったでしょう?」と質問してもまともに答えられる人は
どれほどいるのか想像するだけで恐ろしい。
著者はヴィオラも演奏するそうです。それがあるからこそ描けた世界とも
言えますが、けっして音楽を前面に出したわけではなく、そこには人間同士の
係わりが女性作家らしい筆致で描かれています。小池さんの小説を読むのは
これが初めてですが、弦楽四重奏をベースにしたものを描かずには
いられなかった気持ちよくわかります。
でも、この小説を一体誰が読むんだろう、と心配になってしまいました。
舞台は鹿間四重奏団と駿河台下にあるホール。ここで鹿間四重奏団の
ラストコンサートが行われます。もちろん在りし日の「カザルス・ホール」を
頭に描きながら楽しみました。

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パユ
【EMI 0 85195 2】
モーツァルト フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 KV299
フルート協奏曲 第1番 ト長調 KV313 第2番 ニ長調 KV314
エマニュエル・パユ(フルート)マリー=ピエール ラングラメ(ハープ)
クラウディオ・アバド指揮 ベルリン・フィルハーモニーカー

神戸国際フルートコンクール優勝、ベルリンの世界最高のオーケストラに
所属する日本人が最も愛するフルーティストは誰?
これに答えられないクラシックファンがいたらモグリと言われても
仕方がないくらい、パユはその名声、人気は群を抜いています。
以前のブログでカラヤンが指揮したモーツァルトの管楽器のための
協奏曲集のなかで幸せの時という表現を使いましたが、
同じベルリン・フィルハーモニー、さて、ここではどうでしょう?
聴いた後にいやあ、音楽ってなんて素晴らしいんだろうって
心からそう叫んでしまいました。ここにはフルートは存在しません。
ただ音楽のみがフルートという楽器を通じて昇華しています。
こういった演奏は滅多にあるものではありません。
音色がどうのテクニックがどうのを言うことはできるでしょうけれど、
すべてが音楽に奉仕しているのです。
こういう音楽をすぐに思い浮かぶのはリパッティの弾いたショパンのワルツ
くらいですが、それくらい際立ったものを聴かせてくれます。
これ以上文章を書く必要はなさそうです。改めて同時代に生きる
一人の天才を確認しました。


3n
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 Op.73 「皇帝」
アデス 歌劇「パウダー・ハー・フェース」より「ダンス」(日本初演)
プロコフィエフ 「ロメオとジュリエット」組曲第1番&第2番
ポール・ルイス(ピアノ)
ヒュー・ウルフ指揮 NHK交響楽団

1972年、リヴァプール生まれ、現在40歳、
脂の乗り切ったポール・ルイスは間違いなく現役ピアニストの
トップグループを構成している一人であることに間違いありません。
それを確認するには絶好の選曲、もちろん「皇帝」がお目当ての
コンサートでした。もともと持ち合わせている大変美しい音色と
冴えのある技術で難なくこの曲を披露してくれました。
これくらい余裕があると曲そのものの良さをゆったりと楽しむことが
出来ます。幾分弦の人数を抑えたオーケストラとのバランスもとてもよかった。
後半、アデス。1971年生まれ、ポール・ルイスと一つ違いの作曲家です。
日本初演曲をもってきたウルフのセンスもさることながら、
なにしろ6人の奏者による見本市のような打楽器群(木魚まではいってる!)
を見るだけでとても面白く、クラシカルとエンターテイメントの
融合のような感じがしました。
プロコフィエフの「ロミオとジュリエット」はダイナミクスが大きく、
久しぶりにフル・オーケストラを堪能できましたが、指揮者のウルフ。
何かを表現してやろうということが少々希薄なため、オーケストラを
ドライブできていない印象です。それが出来れば超一流の折り紙が
つけられるのでしょうけれど.
いずれにせよ、ルイスの見事なお手本のようなピアノ、珍しいアデス、
ゴージャスなオケ、十分に満足できる演奏会でした。




グロヴナー
【DECCA 478 3206】
・ショパン:スケルツォ第1番
・ショパン:夜想曲第5番
・ショパン:スケルツォ第4番
・ショパン:夜想曲第19番
・ショパン:スケルツォ第3番
・ショパン:夜想曲嬰ハ短調 遺作
・ショパン:スケルツォ第2番
・ショパン/リスト編:6つのポーランドの歌 S.480~私のいとしい人
・ショパン/リスト編:6つのポーランドの歌 S.480~乙女の願い
・リスト:夜想曲『夢の中に』 S.207
・ラヴェル:夜のガスパール

 ベンジャミン・グロヴナー(ピアノ
世界中で大評判をとっているイギリス期待の星、グロヴナー。
やはりこうなるとこの神童を自分の耳で判断したくなるもの。
最初の曲が始まってすぐに天邪鬼的な耳にとってもすぐに彼が
過去の偉大なピアニストと同等の資質を備えていることが理解できます。
控えめなペダルのため、音が濁らずに一つ一つの音がクリアであると同時に、
きちんと意味のある音になっています。けっこう思い切ったアゴーギクを
使っているのに決して作為を感じさせないところが、すでに大家の風格さえ
漂わせる神童たる所以でしょうか。音楽的に、ひたすら音楽的に。
でもまだ二十歳なんですよ!ギフトされたものへの嫉妬心なんかどこかに
行ってしまってショパンの音楽そのものが、語り、哀しみ、微笑んでいます。
そして、すこし重心の下がった録音はバックハウスやアシュケナージと
つらなるデッカの看板ピアニストの系譜を受け継いでいるのでしょうか。
事実、グロヴナーはデッカと契約した最年少のピアニストでもあり、
その期待の大きさは半端じゃないことがわかります。
いつまでも聴いていたいピアノはそうあるものじゃありません。
絶対に逃しちゃいけない一人がまた増えました。


yatchan2003

Author:yatchan2003
2003年から活動開始。
音楽への想いを伝えたい!
お客さまと共に楽しみたい♪
をモットーに進化中。