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2015 / 05
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ストラド
【音楽之友社刊】
「ストラディヴァリウス~ある名器の一生」
トマス・マロッコ著 金澤正剛・山田久美子訳

弦楽器を友とする者にとってストラディヴァリウスの名前は
神格化されています。演奏家であれ、製作者であれ一度は
手にしてみたいと思っています。事実、私が尊敬し、信頼している
弦楽器製作者たちは目標をここに置いている、置いていたし
それを超えるものを作りたいと願っています。
そんなストラディヴァリウスを主人公とした面白く、興味深い本を
手にしました。ここでの主人公は擬人化された、ロード・ネルソンと
名付けられたストラディヴァリウスです。このストラドの名前は
トラファルガー海戦でのイギリスのネルソン提督の船に乗り、
戦火の中を無事帰還したことでつけられた名前です。
フィクションとノン・フィクションが織りなし、視点を変えた歴史には
著者のヴァイオリンへの愛情がたっぷり込められています。
この楽器を弾いたパガニーニ、イザイ、クライスラーなど歴史に
名を刻んだヴァイオリニストたちがあたかもそこに居るかのように、
そして共に歴史の波に翻弄される様子が臨場感たっぷりと描かれます。
最後に著者は博物館入りしているジェノヴァの「カノン」や、
オックスフォードの「メシア」を嘆き、やはりヴァイオリンは
弾かれてなんぼ、博物館に並べられていったいどうする?
といちばん言いたかったことを書き記します。
「・・たしかにわたしは芸術品であり、見た目に美しい。
だがその美しさはあくまでも、わたしが耳で聞くためにつくられた
という事実のおまけに過ぎない。わたしは人の目を楽しませるため
ではなく、音楽を奏でるためにつくられたのだ。愚かな人間たちよ!」と。
(特別寄稿・J.N)


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グロヴナー
【DECCA 478 5334】
ダンス
・J.S.バッハ:パルティータ第4番ニ長調 BWV.828
・ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ Op.22
・ショパン:ポロネーズ第5番嬰へ短調 Op.44
・スクリャービン:10のマズルカ Op.3より第6,4,9番
・スクリャービン:ワルツ第4番 Op.38
・グラナドス:詩的なワルツ集
・シュルツ=エヴラー:ヨハン・シュトラウス2世の『美しき青きドナウ』の主題によるアラベスク
・アルベニス/ゴドフスキー編:タンゴ Op.165-2
・モートン・グールド:ブギウギ練習曲

 ベンジャミン・グロヴナー(ピアノ)

ダンスと名付けられた期待のグロヴナー3枚目のリリースです。
先にリリースされたものがいずれも大変非凡で、美しいピアノを
聴かせてくれた1992年生まれの俊英だということ。
そしてジャケット写真からうかがわれる、ちょっと大人になった
表情から音楽も成長しているのではとの期待を。
アルバムにダンス、と名付け世界各国の「踊り」の音楽が
並べられましたが、ハフのような宝石箱をひっくり返したような
抜群の選曲センスにまでは及んでいません。
それは「美しき青きドナウ」が冗長で退屈だし(駄作かも)、
ショパンのポロネーズを2曲も入れたため、この3曲で30分以上
かかり少々バランスを欠いたものになってしまいました。
曲ごとにみるなら、一番長い「アンダンテ・スピアナートと
華麗なる大ポロネーズ」が最も成功していています。
弾き手の年齢もショパンが作曲した年齢にも近く、
おそらく一番フィットしていたのではないかと思いました。
ほかはそれなりの演奏をしていますが、残念ながら私たちは
もっとすごいものを聴いています。録音の功罪ということに
なってしまい若手にはつらいことながら、
まだまだ未完成の大器と信じます。
次のリリースを待ちたいと思います。


ゴールデンウィークも残り少なくなった子供の日、5月5日に
「ライヴ・イマジン31」は「ティアラこうとう」の小ホールにて
開催されました。最初は雨の予報だったにもかかわらず、
当日は気持ちのよい五月晴れ。
連休中だし、お客様は来てくださるのだろうか?との心配をよそに
追加開場1 追加開場2
開場1時間前には一番乗りのお客様が登場されて、
嬉しい思いと共に受付の準備を大急ぎで行いました。
時間がたつにつれて、続々と現れるお客様に小さな会場の定員が
気がかりになるほどでした。
縮小0
今回は、小さい会場に合わせての
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第15番と
ブラームスのピアノ四重奏曲第1番という大曲2曲のみのプログラム。
追加客席の様子
恒例の幹事の御挨拶でも、「料理ならば、メインディッシュを2つ
味わって頂くような」という例えにウンウンと頷くお客様も。
縮小1
前半はベートーヴェンの弦楽四重奏曲第15番。
5つの楽章から構成されるベートーヴェンの後期作品の名曲。
演奏者にとっては「いつかは取り組んでみたい大曲」
「30年来温めて来た名曲」など様々な思いをもっての選曲でした。
大曲なだけにアマチュアが演奏することが少ないものです。
縮小3
ライヴ・イマジンでベートーヴェンの弦楽四重奏曲を取り上げるのは
31回目にして今回が初めてです。
ようやくここまで来たとの思いもあります。
「2つ先の本番の準備を常にしなさい」という師の教えの通り、
昨年からコツコツと練習を積み重ねてきました。
縮小4縮小5縮小6縮小7
個人的にもアンサンブル全体でもレッスンを何度も受けて
精度を上げてきての本番です。舞台を囲むような客席配置なだけに、
奏者それぞれの息遣いが聞こえるくらいの臨場感がありました。
縮小2
ドラマチックな主題、穏やかな舞曲、祈りにも似たコラール、
行進曲そして輝かしい終結と移り変わる様相を4人で
表現する厳しさと大きな可能性をも感じさせてくれました。

こんな大曲を続けるのに20分の休憩は短すぎるのでは?
と心配して下さるお客様の声もありました。
演奏者の立場からすれば、「ベートーヴェンの第九に続いて、
ブラームスの交響曲第1番を演奏する気分」です。


後半は、ブラームスのピアノ四重奏曲第1番。
縮小8
後にシェーンベルクがオーケストラ用に編曲したことでも
知られる名曲で演奏される機会の多いものです。
「大きい曲」という印象で、どの楽章も重くしっかりとした
作りになっています。
縮小9縮小11
縮小10
ピアノの独特な主題で始まり、混沌が少しずつ大きく
発展していくソナタ形式の第1楽章。リズミカルな丁々発止での
やりとりが続く第2楽章、大きな物語を奏でるかのような第3楽章、
そして息をのむような鮮やかで熱いジプシーロンドで
華やかに曲を締めくくります。
縮小12
思わず拍手喝采をしてしまうような終結に達成感もひとしおです。

縮小13 縮小14
そしてアンコールは「ボリュームたっぷりのメインディッシュの後の甘いデザート」です。
追加アンコール1
 追加アンコール2
モーツァルトのピアノ協奏曲第13番の第2楽章。
興奮冷めやらぬ会場の空気が一気に清々しいものに。
天にも昇るような美しい旋律に「あぁモーツァルトっていいな」と
誰もが思う瞬間でした。
追加終演の挨拶
夢から覚めたように会場を出ると、まだ外は初夏の日差しが明るく残り、
爽やかな風が吹き抜けていました。
追加終演後1 追加終演後2 追加終演後3
お腹が一杯で満たされた気分は、演奏者もお客様も同じ思いです。
会場を後にするお客様を送り出す私達も幸福感で一杯でした。
追加終演後4 追加終演後5 追加終演後6
後日集計すると、当日は定員140名の会場に
約110名のお客様がご来場下さいました。
そのうち7割を占めたのが出演者の友人知人ではない、
常連のお客様でした。
毎回のように楽しみに足を運んで下さる方々に支えて頂いていることを
改めて感謝の気持ちと共に実感しています。
縮小15

次回「ライヴ・イマジン32」は、場所を五反田に移しての公演です。
今度はガラリと趣向を変えて、リヒャルト・シュトラウスの
「カプリッチョ」と「メタモルフォーゼン」を弦楽合奏で演奏します。
そして通常はオーケストラで演奏されるリヒャルト・シュトラウスの
「ティルオイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」を
管楽合奏とピアノの6人の編成で。
それに加えてプーランクの名曲「ピアノと管楽器のための六重奏曲」
という多彩なプログラムです。どうぞお楽しみに。

ライヴ・イマジン32
2015年10月11日(日)五反田文化センター
リヒャルト・シュトラウス
「カプリッチョ」「メタモルフォーゼン」
「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」
・プーランク
「ピアノと管楽器のための六重奏曲」

大門一夫(Fl)野原国弘(Ob) 佐藤拓(Cl) 植田隆彦(Fg)
宮澤久美子(Hr) 吉田康子(Pf) 前田秀(Vn) 青山千裕(Vn)
吉水宏太郎(Va) 畑修一(Va)
近藤裕子(Vc) 西村淳(Vc) 飯野恵秋(Cb)




yatchan2003

Author:yatchan2003
2003年から活動開始。
音楽への想いを伝えたい!
お客さまと共に楽しみたい♪
をモットーに進化中。