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2016 / 08
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フランツ・モア
【音楽之友社】
ピアノの巨匠たちとともに - あるピアノ調律師の回想
【フランツ・モア著 イーディス・シェイファー構成 中村菊子訳】

フランツ・モアというホロヴィッツの調律師であった人の本。
当然二人を結びつける後ろにはスタインウェイという
ピアノがあります。ホロヴィッツのピアノ演奏については
多くの人が語り、絶賛しているのでここでは書きませんが、
この本では第三者からみた人間ホロヴィッツが垣間見えます。
とくにモスクワに行き、東京に行ったとき何を想い、どのように
行動したか、ゴシップというわけではありませんが愉しませて
くれました。ただこの本はここまでで、相当数のボリュームが
フランツ・モア自身の宗教、キリスト教のことについて
割かれています。これには少々食傷気味でした。
モアはまず人として、そしてプロの調教師として生きてきた
のでしょう。それはわかりましたが、彼のプロフェッショナルを
期待していたのに宗教をとつとつと語られても
ちょっとそれは別のところでお願いします、となってしまいます。
せっかく面白く読み進め始めたのにというのが正直な感想。
そのせいかピアノのことはちょっとだけ。
印象に残ったのは、ピアノを弾いている時のホロヴィッツの
写真でした。いつもと変わらず凛として、どっしりとした姿勢に
ため息が出てしまいます。



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パパヴラミの室内楽
【aeon AECD 0540】
ショーソン ピアノ四重奏曲 イ長調 Op.30
フォーレ ピアノ四重奏曲第1番 ハ短調 op.15
シューマン四重奏団 (リーダー:テディ・パパヴラミ)

パパヴラミが参加した室内楽の録音です。
「ひとりヴァイオリンをめぐるフーガ」が彼の22歳までの記録でしたが、
それから12年後にあたります。彼は弦楽四重奏団をつくるのではなく、
ピアノ四重奏団を指向したようです。ピアノ四重奏は五重奏とは
音楽構造が決定的に違います。四重奏は各個人であり、
五重奏はピアノと弦楽四重奏。音楽的にはピアノトリオにヴィオラを
一本加えるというイメージで、ボザール・トリオもそうしていますが
名人が集まったヨー・ヨー・マ達とシューマン四重奏団は考え方が
近いかもしれません。ショーソンはいずれライヴ・イマジンでやる曲です。
ヴァイオリン・ピアノ+弦楽四重奏の「コンセール」ほどの魅力はない
ものの、それこそ隠れたる名曲の一つと確信しています。
最終楽章で最初のテーマが戻ってきたときの瞬間は感動そのもの。
一方フォーレは一度取りあげましたが、素晴らしい名曲。
これだけを聴いていると、シューマンもブラームスもどこかに
行ってしまいそうなくらい。パパヴラミのヴァイオリンは
突き抜けてきますが、超一流の奏者に比べるとやはり主張は弱く、
大天才と謳われた少年でもこの程度かなと感じました。
もちろん一流であり、かつ音楽の殿堂に
仲間入りしていることを認めたうえでのことですが。

(特別寄稿J.N)




パパヴラミ
【藤原書店刊】
「ひとりヴァイオリンをめぐるフーガ」
テディ・パパヴラミ著 山内由紀子訳

アルバニアという国のことは少なくとも日本においては
ほとんどの人が知らないと答えるでしょうし、
共産主義独裁政権下とくれば北朝鮮を思い出します。
しかもソヴィエト、中国とも国交を断絶、鎖国を貫いていた
となると誰も気にしないし、誰も知らない。
ところがそんなところにもクラシック音楽が細々と
生き延びていました。文革の荒波に耐えたシャオ・メイや
フー・ツォンを思い出しました。
ミッテラン大統領が左派だったことから、パリに留学を
許されたテディ。パリではアモイヤル先生の下で実力をつけ、
父母もフランスに亡命。当然ながら祖国の祖父母、親戚は
キャンプ送り。目指すはハイフェッツ!22歳までの伝記は
知らなかったことばかり・。積んであったテディのCDを
さっそく聴いてみました。
良書です。文学的なものとしても水準以上。
(特別寄稿J.N)




タコ
【EMI 7243 5 75886 2 1】
ショスタコーヴィチ ピアノ協奏曲第一番、第二番
交響曲第一番

ミハイル・ルディ(ピアノ)
オレ・エヴァート・アントセン(トランペット)
マリス・ヤンソンス指揮 ベルリン・フィルハーモニカー


ショスタコの協奏曲第一番はライヴ・イマジン30での演奏から
ほとんど病みつきなっています。とにかくユニークな曲想といい、
ピアノ88鍵、最高音と最低音を両方とも使用している曲なんか
そうはありません。また、どの録音を聴いてみてもそれぞれに個性があって
興味が尽きません。そんな中、ミハイル・ルディというロシア生まれの
ピアニストを聴きました。ロン・ティボーの優勝者らしいですが、
何よりも目を引いたのはオケがベルリン・フィルだったことにあります。
おそらくこの曲にベルリン・フィルが参加しているのはこれだけでは
ないでしょうか。その弦のアンサンブルの厚みと凄味、
特に低音域の充実ぶりに痺れ、あきれてしまいます。
ほかの人の演奏からは聞こえなかったような音もきっちりと
弾きわけられているし、さすがに天下のベルリン・フィル。
こうなるとルディのピアノは最初、女性が弾いているのかと思ったほど、
おとなしいものでこの曲で、しかもこのオケでは
分が悪かったとした言いようがありません。
あくまでもこのヴィルティオーゾ・オケを聴くためのディスクと
理解しました。その意味で最初目を引いた「ベルリン」の文字は
正しかったことを証明してしまいましたが、もう一つ、
ノルウェーのアントセンのトランペットは他の誰よりも見事なものです。
陰影があって輝かしく・・となると不足しているのは主役となりました。



バックハウス
【MUSIC & ARTS CD-1132】
バックハウス・プレイズ・ブラームス

戦前(1929年から1936年の録音)のバックハウスが弾く
ブラームスのピアノ曲集を見つけました。
初期作品のバラードから始まり、後期の小品群、
さらにパガニーニ変奏曲と盛り沢山な内容ですが、
演奏内容そのものも大変立派なものでさすが「鍵盤の獅子王」
バックハウスの貫録を伝えます。戦後録音されたベートーヴェンの
ソナタはもちろん立派なものであっても枯淡の風情であって
必ずしも両手をあげて絶賛するほどのものではありませんでしたが、
このブラームスは違います。ベートーヴェンよりもむしろブラームスに
相性がいいのではないかとおもうほど、その表情は生きいきと輝き、
何よりも自信に満ちた打鍵とそれを支える技巧の確かさは
比べるものがありません。ブラームス後期の小品を彼以上に
音楽を伝えてくれた演奏は知りません。ピアノを弾くならこんな風に
ブラームスを弾けるようになりたい、と思うのは私だけではないと
思います。この人にはこれまで何度も脱帽させられていますが、
今回また大きな感動と共に脱帽してしまいました。



yatchan2003

Author:yatchan2003
2003年から活動開始。
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