2013/05/12 23:02:45
【DG 437 538-2】
マリア・ジョアン・ピレシュ(ピアノ)
シューマンです。この人のファンはとても多いようですが、私には少し
ピンとこないところもあります。もちろん一流のピアニストであることと、
数少ない一線で活躍している女流の音楽家であることを認めた上での
話ですが、現代的な枠にはまりすぎていて、その中で勝負しようと
しすぎるため、ルバートや間の取り方にも限界を感じてしまいます。
同時にペダリングが多いため全体的にかちっとしたタッチで音像を
描き切れないもどかしさも。しかしショパンに比べると、音楽そのものの
枠組みが複雑ながらしっかりしているシューマンのほうに適性があります。
このなかではあっさり弾いた「森の情景」よりも「3つのロマンス」のほうが
起伏もあり聴きごたえがします。反面「ウィーンの謝肉祭の道化」は
少し推進力、迫力に欠けるようにきこえます。辛口になりましたが、
体力的に恵まれていない女性が男性と同じ土俵に上がって音楽の世界で
生きていくことは、本当に大変なことです。同じ才能だったら、まちがいなく
そのハンディで負けてしまいますから。
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