2016/11/30 01:26:46

【文芸春秋刊】
「羊と鋼の森」 宮下奈都著
ピアノ調律師を主人公にしたマンガ、「ピアノのムシ」の
大ファンの私は最新巻も一気読みしたところでしたので、
この本にもとても期待していました。
ピアニストにいくら光が当たっても、いくら栄光をつかんでも、
それを支えたピアノ調律師は、なかなか表に出てくることは
ありません。でも調律の力は本当に大きいものです。
今年2月のライヴ・イマジン33でモーツァルトのジュノームを
弾いた時には、前日午後にホールを借りて、本番で使う
スタインウェイのフルコンを舞台でしっかり調律をしてもらいました。
いつも自宅のピアノ調律をお願いしているSさんは、
弾く曲に合わせて私の仕様に仕上げて下さいます。
おかげさまで本当に安心して本番は普段以上の力が出せました。
この本の主人公はあるきっかけから調律師になり、
人間としてのありかた、生き方をさわやかに、そして
優しいまなざしで描いたものです。
少々辛口に読書感想とするなら、周りにいる人たちは
皆善人なのでアクセントもなく、ピアノ調律の専門的な内容
となるとどうしても核心のまわりをうろついている感じは
致し方ないことなのかもしれません。
で、本当にそれだけなんです。
ちょっと大きな賞をとった作品だけに
期待をしすぎてしまいました。
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