2017/11/15 16:19:13

【DGG 437 460-2】
ブラームス ピアノ小品集
イーヴォ・ポゴレリッチ(ピアノ)
ポゴレリッチは第10回ショパン・コンクールで本選を落選した時に
審査員のひとりだったアルゲリッチの猛烈な抗議と辞任
というスキャンダルで一気に有名になりました。
いわゆる「才能」というものを感じさせてくれるという点では
1,2を争うのは間違いないと思います。
そのポゴちゃんもいつの間にか50歳半ば。
最近の来日時の論評をみていてもその奇抜さは
際立っているようですが、この録音は30代半ばのもの。
もうその個性的なアプローチはすでに確立しています。
ブラームスというフィルターを通じてポゴレリッチの想い、
語り、叫び、ありとあらゆる感情、そういったものが
伝わります。ただ、ケンプが大切にしていた、Op.118-2の
インテルメッツオにある、音楽への愛情、温かい目線
みたいなものとは対極にあります。つまり乾きとか、絶望とか、
諦めなど、そういう言うたぐいのもので。
結局言いたいことがあって、それを支える技術があっても
必ずしも万人がそれを受け入れられるわけではない、
音楽のむずかしさを考えさせてくれます。
ポゴレリッチの信者は間違いなく存在するとは思いますが、
ひとときのものであって普遍的なものとは思えません。
ピアノを習う生徒がいても、絶対に真似をしてはいけない
一人です。
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